君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第203章 203
龍之介とは約30cmほど、楽とも20cmは身長差がある。
足の方が長いのはも同じだが、この20cmの差は踊る場面においては相当の差がある。
「龍くんと楽と同じ距離移動しようとすると、私だと一歩分くらい違うんですよね。だからってワンステップの所をツーステップで行こうとすると間に合わないし…飛ぶ勢いで移動しないとだから大変なんですよ」
「まぁ、それはそうだけど…じゃなくて、天のパートでいいのよあんたは!体格なら天が一番近いんだから」
「そこは推しのパートを踊りたい乙女心…ぎゃー!!今のキックいい!蹴られたい!」
間近で叫ばれ、思わず耳を塞ぐ姉鷺。
ドМ発言するんじゃないわよ…ファンが泣くわよ…と肩をがっくり落とすのであった。
「はぁ…はぁ…どうだった?」
「かっっっっこよかった!!難しいとこいっぱいあったー!」
「ん?どこ?」
「うんとね、デデデ、デデデのとこ」
「ちょっと早いとこだね。ここは…」
一曲踊りきった龍之介がへのアドバイスを始める。
普段は人目を憚らぬほどイチャ付く彼らが、真剣な眼差しで踊っている姿はやはりプロなのだと思い知らされる。
「こうして、そう、右足下げて、OK!ナイス!」
「待って待って待って。足もつれそうっ!ここでこうして、ターン、右足からの、ステップ、キック…うわぁ?!!」
「っ!」
キックの着地で足を滑らせ、は瞬間的に転ぶことを覚悟しギュッと目を瞑る。
だが、その衝撃はいつまで経っても訪れず、代わりにふんわりとした感触に包まれていた。
「…?」
「、大丈夫?」
「りゅ、うくん…?え?!大丈夫?!」
「俺は何ともないよ。怪我無い?」
「大丈夫…龍くん、ありがとう」
「が怪我しなくて良かった」
にこりと微笑み、額に口付ければは幸せそうに微笑み抱き着いて来る。
「あんた達」
「起きろ、龍」
の頭を守るように掌で支え二人で倒れ込んでいる為、傍から見れば龍之介が押し倒しているように見えなくもない。
そのまま見つめ合っていれば、後ろから声を掛けられた。
「起きれる?」
「うん。大丈夫…っしょ、と」
龍之介が先に立ち上がり、に手を差し伸べる。
その手を取ればゆっくりと起き上がった。