君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第199章 199
「マジかよ…」
「何の話ー?」
「お前さんはモテてんなって話」
「気に入って貰えるのは有り難いんだけどね。龍くん超える人っていないんだよねぇ…全然」
胸の前で腕を組み、うんうんと頷く。
でしょうね。
と皆もまた頷けばスタッフからステージへの移動を促される。
「緊張してきたぁ」
「しっかり、歌ってやろうぜ」
「TRIGGERの為に。ファンの為に。視聴者の為に。頑張る!」
こくりと頷けばふと後ろを見て、陸と一織の姿が無いことに気付いた。
「あれ…」
「ー、行くぞー」
「あ、はい!」
すぐに追いついて来るであろうと、大和に呼ばれるがままにステージに向かう。
一織も、TRIGGERの曲を歌うことになった時、何か言いたげな表情をしていたことを思いだす。
それを今陸に伝えているのかもしれない。
陸を全面的に崇拝している様子すらある一織の事だから、賢い一織の事だから、これからのIDOLiSH7について何か思う事があるのだろう。
それが何かはにはわからないが、もまた、これからのステージは全身全霊で向かわねばならない。
「よし…」
頬を軽くぺちぺちと叩き、遅れてやって来た陸と一織に視線を向ける。
「陸と何話してたの?」
「個人的主観で、七瀬さんへの助言などを」
「個人的…ねぇ…」
「あの人は、放っておくととんでもないことをしかねないので」
「なるほど?」
「まぁ、さんもですけど」
「えー?私も?とんでもないことなんてしないよ」
くすくす宇笑うに小さく溜息をつき、一織は隣に立つ美しい少女を見る。
の笑みは魔性だ。
陸の訴求力と並ぶ、訴えかける力は計り知れないものがある。
彼女の笑みの為に、どれだけの者が動き、力の限りを尽くし、どれほどの事が起きるのか、一織ですら未だ未知数である。
陸よりも芯の強さが太いは、陸以上に扱いきれないポテンシャルがあるだろうと一織は踏んでいる。
今のは龍之介とTRIGGERへ全ての力を注いでいる部分があるが、もしTRIGGERが業界に完全復活し、が他に目を向け始めたら…
「貴女は、七瀬さんの最大の強敵になる得る」
「へ?」
「今の内に潰すのも手ですかね」
「怖い事言わないでくれる?!魔王みたい…」