君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第199章 199
「冗談ですよ。貴女が女優として突っ走っている限り、私は貴女に何もしません」
「まぁ、私は女優として頑張りたいとは思ってるけども」
苦笑しながら頷くに、それで良いと一織もまた頷く。
二人の会話がいったん落ち着いたところで、メモリアルソング発表の時間がやって来た。
フィナーレまで、残りあと少し。
『この曲を歌う事、最後まで話し合いました』
『その結果、俺たちは歌う事に決めました。だって、悪い曲なんて、ダメな曲なんて、ないから』
『皆さんの気持ちを、裏切るなんてできない。みんなの想いを、受け止めるのが私たちの務めだから』
『それでは、聞いて下さい』
陸の言葉を合図に、それぞれがフォーメーションの位置に立つ。
曲名を告げれば、客席は歓喜に沸き、曲が流れればペンライトが輝き出す。
「、すげぇな」
「うん…なんだか、鬼気迫るものがあるっていうか…」
「……もっと早く出会いたかったなぁ」
「…陸…」
もっと、TRIGGERを呼んで
もっと、聞いて
TRIGGERを愛してるって
TRIGGERが最高だって
もっと、もっと…
TRIGGERを呼んで。
歌いながら、踊りながら、は観客を見渡す。
この曲のように、セクシーに、魅惑的に、革命を起こす様に。
「…すごく綺麗だ」
「ああ…なんか…ちょっと怖ぇくらい…あんなに綺麗だっけか、あいつ」
観客の視線は、陸と、に注がれている。
そんな観客たちすべてに視線を合わせるように、は笑みを向ける。
そんなの視点が、止まった。
「」
「…龍くん」
私、歌えたよ
TRIGGER、歌えた
うん、ありがとう
すごいよ
愛してる、龍くん
俺も、愛してるよ、
「……」
『TRIGGER…』
最後のフレーズを歌い切り、そのまま数瞬静止した後、はにこりと微笑み2階席に座るTRIGGERたちに引き金を引いた。
その笑顔は、観客を引き込み、そして、この場の誰もが一瞬で彼女に恋をしたのだった。