君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第193章 193
「二日間でしょうが」
「やだやだやだやだっ!もっとぎゅってしたい!」
「だそうです」
甘え倒して抱き着いてくるをぎゅう、と抱き締めながら姉鷺を見る龍之介に、だそうですじゃないわよ、と手慣れた様子での首根っこを掴む。
「にゃーっ!!」
「ほら、車乗っけてあげるから。行くわよ」
「にゅー…」
「猫」
「子猫だね」
「可愛い猫ちゃんだね」
くすくす笑いながらを見るTRIGGER。
事に龍之介はを見る目が輝いている。
「あんた達も行くわよー。龍、任せるわよ」
「はい。、おいで」
「りゅーくーんっ」
「抱き着いたら歩けないでしょう?!」
龍之介においでと呼ばれれば駆け寄って抱き着くに盛大に突っ込む姉鷺である。
確かにギャラリーも撮影時並みに増えてきたために、は仕方なしに龍之介の腕に抱き着く。
そのまま駐車場へとやってこれば、いそいそと荷物を載せて車内へ乗り込んだ。
「さて、もう送っちゃっていいわね」
「はい、よろしくお願いします」
「は?寄りたいところない?」
「はい!大丈夫です!」
飴鷺の気遣いに感謝しながら答えれば、そういえばと龍之介に声を掛けられる。
「ここまでどうやって来たの?」
「電車だよ」
「大丈夫だったの?」
「うん、特に問題なく…」
「あんた…その変装で?」
「あと帽子は被りましたけど…珍しくスマホ向けられたりもしなかったので多分バレてなかったと思います」
気付かないところで向けられていたかもしれないが、ラビッターなどの目撃情報も上がっていないため、きっと大丈夫だろうと頷く。
「ならいいけど…よく許したわね、大神くん。電車乗らせるなんて」
「……」
「…?まさか…」
「万理さんに言ったら、忙しいのに送っていくって絶対言い出すから…」
つまり、こっそり来たという事だ。
運転中の姉鷺はさすがに前を向いたままだったが、全員から!と叱咤の声が飛ぶ。
「危ないだろうが!」
「何かあったらどうする気だったの!?」
「あんた、自分の人気と立場自覚しなさいよ!」
「ごめんなさいっ」
楽、天、姉鷺の声に肩を竦めれば、珍しく静かな龍之介にそっと視線を向ける。
「…」
「はい…」