君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第187章 187
「ううん、それは全然いいんだけど…どうしたの?」
「ラビッター情報だから確かじゃないんだけど、会場の近くに鳳くんがいるって書いてあって…」
「え、鳳さんが?」
懐かしさすら感じるその名前に、は軽く首を傾げる。
かつて、に似た女性と写真を撮られ、人違いながらとの熱愛報道を出した俳優である。
あれから数々のスキャンダルが吹き出し、世間の批判を浴びに浴び、引退まではいかなかったが仕事が激減し、今ではテレビにはほとんど顔を出さない状態となっていた。
「大丈夫だとは思ったんだけど、念のためね」
「そうだったんだ‥本番前に心配かけてごめんね」
「俺が勝手に心配しちゃっただけだよ。鳳くんがまだのことを狙ってるとは限らないんだけど…」
「それこそ念のため、だね。ところで、天と楽は?」
「二人は今衣装の最終チェック。俺は少し前に終わったんだ」
「そっか。……先に衣装見ちゃったーっ!しまったー!目閉じてればよかったぁー!」
両手で顔を隠しながら叫ぶに、龍之介はくすくす笑いながらその手をそっと取り繋ぐ。
「ステージに上がったらまた印象変わるから」
「確かに…はぅ、かっこいい…」
「も可愛い。あれ?口紅変えた?」
そんな龍之介の言葉に、はにこりと微笑む。
印象が変わったことは自分でもわかっていたが、それを気付いてくれたことがとても嬉しい。
「すごい、気づいてくれたんだ!コスメ身に行って試しに着けてみたの、気に入ったから買ってみたんだ。似合う?」
「うん、すごく…何だろう…いつもより色っぽい」
「それは…照れるけど、嬉しい」
微笑みながら龍之介を見上げれば、キスしたくなった?と首を傾げる。
そんなに頬を染めながら、龍之介は小さく頷く。
「すごくしたい。していい?」
「リップ移っちゃうよ?」
「いいよ。…というか、もうしたくてたまらない」
「ん…ふふ、もっとしよ?」
「喜んで」
言葉と共に口付けられ、が口付けを返せばそのまま深まっていく。
「っ、ん…は…りゅ、う…」
「可愛い」
「んー…好き。あ、そういえばね?」
「うん?」
「お姉様がライブ見に来てる」
「え?!だ、大丈夫だった?」