君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第186章 186
パンダになるとこだった。とくすくす笑うに龍之介もまた微笑み、一度自分たちの部屋へと戻ろうと頷く。
「出発になったら迎え行くから、龍はとゆっくりしてて」
「うん、ありがとう。天」
天、楽に見送られ、二人は隣の部屋へと戻る。
「行きつけだったカフェまだ営業してるかなぁ…」
「実家の近く?」
「ううん、東京来るまで通ってた高校の近く。和カフェ?ってやつで、ケーキも飲み物も和のものが多くてね。でも観光客は少なくて、マスターも気さくで、よく行ってたんだけど…」
マスターお歳だったから、まだやってるかなぁ。
そんな事を呟きながら、は辺りを見回す。
「ちょっと行きたいところがあるから、そこだけ行って…あとは昨日みたいにカフェで時間潰すことにしようかな。ライブの為に体力温存しときたいし」
「うん、久しぶりのオフなんだし、ゆっくりしておいで。ところで、行きたいところって?」
「百貨店。友達のお母さんが働いてて、デパコス良いの教えてあげるーって前言ってくれてたから。メイクさんに教えてもらったのもチェックしたいし、行ってこよっかなーって」
京都まで来てデパコスとは、と思ってしまうが、にとって慣れ親しんだ地元である。
観光名所に赴くことは少なかったが故に観光をしてみたい気持ちはあれど、余りうろついて今が京都にいることが実家の誰かに知られることを懸念したのかもしれない。
「そうなんだ、気を付けてね。俺におすすめのクレンジングあったら教えて?」
「龍くんにおすすめの…わかった!見とく!サンプル貰ってくるね!」
にぱりと微笑みが頷いたところで、部屋の扉がノックされる。
どうやら出発時間のようである。
扉を開けば、龍之介はを見た。
「ももう出る?」
「百貨店まだ開かないから、後から出ようかな」
メイクも直さないと。と龍之介の問いに答えれば、そうだね、と頷かれ抱き締められる。
「じゃあ、先会場行ってるね。行ってきます」
「うん、頑張ってね。行ってらっしゃい」
頭を撫でられ龍之介を見上げれば、そっと口付けられる。
嬉しそうに口付けを返せば、ぽこりと頭を軽くはたかれた。
「イチャつくんじゃないわよ。ほら、行くわよ」