君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第186章 186
「、こっち」
「ん?うん」
朝食を終え、部屋へ戻ろうとしたところで龍之介は天と楽の部屋の前に立ちを手招いた。
促されるまま部屋に入れば、龍之介と共に天と楽が並び、は首を傾げる。
「さて、」
「うん」
「いつもありがとう。俺たちの事支えてくれて」
「そんな…」
首を横に振るに、龍之介たちは微笑む。
「本当にささやかなお礼しかできないのが心苦しいけど、でも、俺たち今日は最高のTRIGGERをとファンの子たちに届けるから」
そう言いながら天から預かり、龍之介はに一枚の紙を差し出す。
「今日のチケット…」
渡されたのは今日のライブのチケット。
その席番号を見て、は目を見開き、次いで三人を見上げた。
その瞳は、いつもより潤んでいる。
「俺たちの事、最前列で見てて」
「しかもど真ん中な」
「ファンをひいきしたくはないけど、でも、にはここに居て、僕たちを見て欲しい」
最前列、真ん中の座席チケット。
東京国際音楽芸術祭で、ミューフェスで、TRIGGERがテレビから消えて、全てではTRIGGERとファンを陰から支え、奮起させてくれた。
これだけで全ての礼を返せるとは思っていない。
けれど、今できるTRIGGERからの精一杯の贈り物である。
「龍くん…天、楽…こんな…私…っ」
チケットを片手に掌で口元を覆い、は涙を流す。
「あり、がとう…」
「絶対に楽しませる。醒めない夢を見せるから…見てて」
「うん。期待してる!ありがとう…本当に嬉しい」
龍之介に涙を拭われ、は幸せそうに笑い、頷いて抱き着く。
その笑顔は何とも愛らしい。
「最前列でTRIGGER…しかも九条さんの演出でTRIGGERのライブを見れるなんて…最高だよ。ありがとう、龍くん、楽、天」
「どういたしまして」
「期待してろよ」
「ファンサも期待しててね」
龍之介に抱き締められたまま天と楽に頭を撫でられ、は嬉しそうに微笑む。
「メイク落ちちゃうね」
「下地しかやってないから大丈夫…ガッツリメイクしてなくて良かったぁ」