君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第20章 20
「うちに欲しいくらいだもの、ちゃん。これからあんたはどんどん女優として突き進めるのよ。恋愛に現を抜かしてる場合じゃない」
「…はい」
「は、い」
「でも」
万理と姉鷺二人の言葉に、と龍之介は頷くもお互い顔を見合わせる。
そんな二人の様子に、姉鷺はため息混じりに口を開いた。
「あんたたちの様子を見てて、仕事だけはきっちりやり切るだろうと判断したわ」
「え…?」
「我慢しきれずにちゅっちゅちゅっちゅしてたみたいだけど、この撮影が終わるまでは、ってそこまでで我慢してたんでしょ?」
「…なんでそこまでお見通しなんですか…」
「女の勘よ。だから取り敢えず、事務所非公式だけどあんたたち二人の交際は認めてあげる」
姉鷺の言葉に、は姉鷺を見、そして万理を見た。
その視線を受け、万理もこくりと頷く。
「ただし、あくまでも非公式。俺と姉鷺さんの内輪でしか認めてないって事。だから、週刊誌に撮られるとか、ファンに見つかるとか、そんなことは絶対に許されない。誰にも言えない、隠密交際。きっと、思ったより難しいよ。それでも二人が一緒に居たいというのなら、絶対バレない事。オフの日は良いけど、仕事の日は何があっても仕事優先。それが守れるのなら、交際を認める」
「守ります!!」
「俺も、姉鷺さんやファンを裏切らない様に気を付けます」
意志は固いらしい。
何が何でも仕事をするように、何が何でもお互いを想い合っているのだ。
万理と姉鷺は顔を見合わせ、ならば、と頷く。
「分かった。ほんっっっっとうに見つかるんじゃないわよ?!」
「気を付けます!」
「は特に、これから売り出して、記者が張り付くこともあるかもしれないから、本当に気を付けて」
「わかりました」
「じゃ、あとは若い二人に任せましょうか。大神君」
「そうですね。俺たちの食事は別室ですしね」
姉鷺が立ちあがり、万理も次いで立ち上がる。
何事かとと龍之介が二人を見上げていれば、二人はにんまりと笑う。
「ドラマ撮影やり切ったご褒美よ」
「明日オフだから、ゆっくりしてっていいよ。俺も勝手に帰るから」
そんなマネージャー二人の言葉に、と龍之介は揃ってきょとん顔である。