君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第173章 173
いつぞやに私は幼女か。とは言っていたが、今のの行動はまさに幼子のそれである。
「美味しそう…」
「…鮮度良いだろうね」
魚(食)大好きと、漁師の息子の血が騒ぐようである。
お昼は海鮮にしよう、と決め、二人は順々に水族館を巡っていく。
「わー!ペンギン!よちよちしてる!よちよち!」
「寝起きのみたい」
「……よちよちしてる?」
「そう。危ないから、抱っこしてるんだよ?」
「え…私が好きだからじゃないの?」
がーん、と龍之介を見上げるにくすくす笑い、龍之介はの頭を撫でる。
「の事愛してるのは大前提。愛してて、守りたいから抱っこしてる」
「龍くん…っ!大好き!」
「俺も大好き」
ペンギン水槽の前でいちゃつき抱き合う男女。目立つ。
人の増えてきた館内で、目立って仕方ない。
「ペンギン…いつまでも見てられるわぁ…」
「そうだね。あ、でももうすぐイルカショーの時間だよ」
「え、ホント?見たい!」
「よし、行こう」
手を繋ぎ直し、二人でイルカショーが行われるスタジアムへ。
「アシカもいる!」
「ホントだ!かぁわいいなぁ」
プールではショー前のイルカがゆったりと泳いでおり、アシカがフロアでスタッフとショー前の練習をしている様だった。
「芸達者…負けてられない…」
アシカにまで張り合うである。
「も充分芸達者だと思うけど」
「そう?」
無自覚にも程がある。
近頃は清純派キュート系から、クール系と、ありとあらゆる役をこなし、歌手業でも曲を出せばランクインは確実。
ランク入りは人気故でもあるが、それでも歌自体への評価は高く、長くランクインしている曲も多い。
バラエティはほとんど出ていないが、スタッフからの信頼と好感度がとても高く、オファーが未だ絶えない状態である。
「そう。仕事だけでも二足の草鞋なのに、学生としても、俺の恋人としてもいてくれる」
学業も疎かにはせず、担任からは、忙しいのは分かってるけど大学目指してくれ、と言われる始末。
家事も、食事をさぼるところがあるのが心配だが、自分の分担や役割はきっちりこなしている。