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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第173章 173




「うさみみランドも初めてって言ってたけど…遊園地とか、動物園とか…」
「行ったことないと思う。美術館とか、博物館とかは連れて行ってもらったことあるけど」

教養を身に着けられる場所への外出はあったらしい。
けれど、子供の時に子供らしいことをさせてもらえていなかったのか、と龍之介はに並んで水槽を見上げながら、繋いでいない手で拳を強く握る。
まだ子供っぽい所はあるが、妙に大人びているところが多いのはそのせいか。

「放課後に遊びに行くとか、休みの日に友達と出かけるとか…」
「全くないわけじゃないけど、少なかったかな。小学生の頃はまず勉強だったし、中学入ったら旅館の手伝いもあったし…土日は繁忙日だからね」

それでもスタッフや宿泊客など、人と接することは多かったから自然とコミュニケーション能力は上がった。
気遣い屋な所や明るい性格は生まれつきなのか、遊べなくとも友人と呼べる存在は多かった。
けれど、家族との思い出は全くないという。

「そっか…」
「ん。でも別にそれが普通だったから、周りが羨ましいとかはなかったよ。それに今、龍くんとたくさん思い出作れてる。龍くんとの初めてがいっぱいあって、凄く楽しいし、幸せ」
「…。俺も幸せだよ。と一緒にいられるのが最高に幸せ」

そっと肩を抱き寄せて、頭を撫でる。
それだけで嬉しそうに顔を向けてくるに笑みを返し、しっかりと肩を抱く。

「これからも、色んな所行こうね」
「うん!楽しみ!」

本当に一瞬、年上の自分と付き合う事で、ただでさえ仕事で忙しいの青春を奪っていないか心配だった。
同級生とおしゃべりしたり出かけたり、そんな事もして欲しいとも思う。
けれど、隣にいるはとても幸せそうに笑ってくれている。
それが愛しくて、嬉しい。

「はっ!ウツボ!……近くで見るとこわぁい…」

目的のウツボを見つけて嬉々として駆け寄った。
即座に後ずさって龍之介に抱き着く。
ウツボ、可哀想……
と思いつつも、きゅ、と抱き着いてくるは可愛い。
くすくす笑いながらそっと頭を撫でる。

「ほら、他にもいっぱいいるよ」
「ん、うん」

大小様々な魚たち。
その泳ぐ様を目で追ったりついて行ったり。

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