君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第173章 173
「龍くんの彼女は頑張ってないけども」
「そう?」
「うん。超ー幸せ。龍くんの傍に居られる幸せを日々噛み締めております」
そう言って笑うは何とも愛らしい。
龍之介はそんなをじっと見つめ、微笑んだ。
「ん?」
「可愛い」
「照れるからーっ!」
「あはは、ごめん。あ、始まるね」
音楽が鳴り始め、二人の視線がプールに向かう。
「すごーいっ」
「可愛い」
「ね!イルカ可愛い!」
「イルカじゃなくて」
。
そう言って、龍之介の手はの顎を掴み、そのまま口付ける。
途端、周りがざわめいたことに気付いたが、そこをあえて無視して口付けを返した。
「イルカショー見ようよぉ」
「ごめん、つい。見よっか」
くすくす笑いながらプールに視線を向ければ、ふと、大きなモニターに目を向け、そして目を見開いた。
「龍くん…映ってる」
「え、なに…が…うわぁ?!俺たち映ってる!」
「わー、やっほー!」
「こんにちはー」
モニターに映ったことで、カメラ慣ればっちりの芸能人を出してにっこり笑って手を振ってしまった二人。
どこにいると探し回る他の客がきょろきょろしているのが分かるし、近くに座っている客たちは目を見開いて固まっている。
一体、モニターにはどこから映ってしまったのかが懸念案件だが、そこまで騒がしくない故にキスをしている場面はうつされていないかもしれない。
「席、外した方が良いと思う?」
「でもみんな探してるし、今立ち上がったら目立っちゃうかも」
それもそうだと顔を見合わせていれば、モニターが別の客を映したところで、頷き合って眼鏡を交換して掛け直す。
目元の印象を変えて見つかりにくいようにしてみようという作戦だ。
二人揃ってほぼ同じ形のレンズを使っているので、あまり意味はないのだが。
その後も続く大興奮のショーが終わるまで、別の意味でもドキドキが止まらない、龍之介とであった。