君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第172章 172
「龍くんはそれ着て行く?」
「うん、そのつもりだよ」
「じゃあ…こっち」
頷けば、ミニスカートとジャケットの方を軽く上げて微笑む。
「うん、良いと思う。すごく可愛い…けど、寒くない?」
「うん!ストッキング履くし。これなら…ショートブーツかなー」
決まれば早い。
ササッと着替え、そのまま服に似合うアクセサリーも装着し、きちんと婚約指輪も嵌め、準備完了である。
「でーきたっ」
「かーわいい」
じゃん、と振り向くに微笑み、龍之介はそっと抱き寄せ口付ける。
「リップ落ちちゃうね」
「んー、落としちゃお?」
くすくす笑いながら口付けてくるのその言葉に、こっそり悶えながら再度口付けを返し、それを深める。
「んっ…ぁ…落ちちゃった?」
「うん…俺についてる?」
「ついてる。取ってあげるね」
てっきりティッシュでも出てくるかと思いきや、今度はから口付けが来て深まる。
これはもう、そういう事で良いだろうか?
とベッドに押し倒そうとすれば、こーら、と頬に触れられる。
「それは、あと」
「…ダメ?」
「ダメじゃないけど…我慢して、我慢して、夜にたっぷり、ね?」
何なのだその悪戯に可愛い瞳は。
「小悪魔…」
「へ?」
「この間のCM。魔法のリップで小悪魔になっちゃお」
「やーだー!恥ずかしい!!」
ティーン向けの色付きリップのCMである。
の感覚で思いっきりぶりっ子をしてしまったが故に、やり切った感はすごいのだが、CMが流れる度に余りの恥ずかしさに頭を抱えたくなっていた。
「俺にとっては、は天使で小悪魔で女神で…いつでもどこでも可愛くて綺麗なんだけど」
「褒め?過ぎ!多分褒めてる?過ぎ!!」
「褒めてる。は俺にとって最高の女の子」
「照れる…嬉しいけど照れる…」
照れた先の仕草が、頬を両手で隠しながら龍之介の胸に顔を隠すところなのがまた可愛い。
のその毎度見せる仕草がすべて可愛いとすら、龍之介は思っている。
「ほんっとに可愛いなもう…。けど、あんまりここに居るとまたベッドに押し倒しちゃうから、出かけようか」
「へへへ、ありがと。うん、行こ行こ!」
靴を履いて手を繋ぎ、部屋を出れば、丁度買い物に出ようとした楽と出くわした。