君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第172章 172
無事に風邪も治り、本日のオフは予定通り龍之介と出かけることになった。
下着姿でクローゼットの前で仁王立ち。
「うーーーーん…服がない」
あの服もこの服もその服も、龍之介とのデートで着た服だ。
忙しくて服を買う暇もなかったのかと苦笑していれば、階段を上がってくる足音。
「あ、こーら。またそんな格好して。風邪治ったばっかりでしょ?」
「服決まんないんだもん」
ぷくりと頬を膨らませるにくすくす笑いながらベッドからシーツを持ち上げ、の肩にかけてからくるくると巻き付ける。
「動けましぇん」
「そうしたんです」
見上げてくるに頬を緩ませながら、龍之介はそのままを抱き上げる。
「さて、今日はどこ行くんだったかな?」
「水族館っ!」
「そう。外にも出るから冷えない格好にしようね。…でも、病み上がりで大丈夫?」
「もちろん!超元気だよ?」
流石体力おばけと言われるだけはある。
顔色の表情もいつも通りでとても良い故に、龍之介も一安心である。
「うん、なら良かった。じゃあ…着るもの選ぶ?このまま俺に脱がされる?」
「え、選ぶ!選ぶ!」
ベッドに下ろされて龍之介を見上げれば、何とも艶っぽい瞳で見下ろされる。
そういえば昨日は、仕方ないとはいえそのままお預けをしてしまったな、と思いながらもは服を選ぶことを選択。
些か残念そうな表情をされてしまっているが、待ちに待ったオフのデートなのだ。
龍之介もそれは分かっているからか、を抱き起してクローゼットの前へ。
「これかなぁ…」
呟きながら取り出したのはロング丈のワンピース。
ゆるッとしたシルエットが可愛らしくて気に入っている。
「可愛い…っ」
「それともこっちかなぁ」
光沢のある黒いミニスカートとジャケット。
先程とは真逆にぴたりとしたシルエットである。
「可愛い…っ」
「それともー…」
「待って。二択にしよう?全部可愛いから俺も悩んじゃう」
龍之介に抱き締められることで選ぶ腕を止めて、はそのまま龍之介を見上げる。
「じゃあ、どっちがいいかな?」
二つの服を手に取り、自らに当てながら首を傾げる。
その時ふと、龍之介の服装が目に入った。