君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第169章 169
疑わし気な二人の視線に苦笑しながら、万理もまたIDOLiSH7の楽屋へと向かう。
扉の前に立てば、めちゃくちゃうるさい。
「外まで聞こえてるよ…何事?」
「万理さん!いつもの環さんとちゃんのじゃれ合いなので…」
「ああ、元気で宜しい。けど、ほーら、ストップ」
「万理さん…環が…環が私のプリン食べたぁぁ」
「っちのじゃねぇってば!これ俺のだっつーの!」
「どうなの?大和くん」
「の分も含め、人数分の差し入れがあったんですけど…」
「環が気付かず二個食べちゃって」
「なるほど…」
よしよしとの頭を撫でながら万理は苦笑である。
しかし、いつもなら自分の分を食べられたくらいでここまで泣かないはずだが、の瞳はウルウルとしている。
「ちなみに、誰からの?」
「TRIGGER…てか、十さんからです」
「う゛…マジ…?」
「あぁ…それは…泣いちゃうね」
大納得である。
龍之介からの差し入れとあらば、それはそれは食べたいだろう。
「っち…ごめんな?」
「あとでプリン買って」
「わかった。買う」
「…ん、じゃあ、仲直り」
こくりと頷き、は環を見上げ微笑む。
あああああ可愛い…!
などと環が思っていることなど知る由もなく、は環が頷いたことを確認してから陸の元へ。
「陸ーりくりくりくりく!」
「どうしたの?ちゃん」
「天の隠し撮りしてきた!」
「え?!み、見たい…」
そんなと陸のやり取りに、九条天の隠し撮りとあらば見ない訳に行かない一同。
揃ってのスマホを覗き込む。
「…隠し撮りか?これ」
「全部カメラ目線のエンジェルスマイルじゃん」
「私が隠れて撮ったからこれは隠し撮りです!」
隠れてんのバレバレじゃん。
のカメラスクロールに写る天は、調理をしていても、スキンケアをしていても、全てカメラ目線プラス笑顔。
カメラを向けられたからこうなのか、の隠れっぷりが下手過ぎての笑みなのかはわからないが、良い笑顔である。
「プロ…」
「てんてんすげぇ…」
「これ、ちゃんに笑いかけてる笑顔だよね」
「よくわかんな」
「流石双子だね、陸くん」