君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第168章 168
「まだ諦めてないんですか?」
「うぉわぁ?!!いおりんっ!!気配消すなって!忍者か?!」
「末裔です」
「マジ?!!」
「嘘ですよ」
あとからやって来た一織に盛大に驚き、からかわれて、なんだよ、と唇を尖らせる。
「それより、さん…まだ好きなんですか?」
「…べっつにー」
「バレバレですけどね。こういうのって、本当に本人は気付かないもんですね」
呟く一織に、環はがりがりと頭を掻く。
もしかしたら、は環の気持ちに気付いているのかもしれない。
けれど、答えることは出来ない。
はどうあっても、龍之介以外を愛することは出来ないのだから。
ならば、せめて今まで通り、普段通り接しようとしているのかもしれない。
でも、だとしたら
「それはそれで、残酷だな」
「は?なにが?」
「ただの独り言です」
「あれ、まだいたのー?」
思ったよりゆっくり進んでいたようで、職員室へと行っていたが追い付いた。
一織と環は自然と両側に寄り、が二人の間に並ぶ。
「待っててやったのー」
「えー、嬉しいっ!ありがと」
そう言ってにぱりと微笑むは何とも可愛い。
だからこそ、環はいつまでもから離れられないのかもしれない。
「今日弁当持ってきた?」
「万理さんがお昼準備するから、用意しなくていいって言ってた。だから持ってきてないよ」
「バンちゃん飯用意してくれんの?」
「紡ちゃんもそう言ってなかった?」
「言ってました。だから兄さんも今日はお弁当作ってなかったんですよ」
一織の言葉になるほどなー、と頷く環。
「おい、廊下で広がって歩くなよ。邪魔」
そこに後ろから声がかかり、三人で振り向けばそこには亥清悠の姿。
「おー、はよー、いすみん」
「いすみんて呼ぶな」
「おはようございます、亥清さん」
「おはよー、いすみん」
「四葉の真似すんな!なんなんだよお前ら」
つかつかと歩いて来れば、を見下ろし、はっ、と鼻で笑う。
「虎於にキスされて、泣いたって?」
「嫌いな人に乙女の純情踏みにじられたら、そりゃね」
「はぁぁぁ?!どういうことだっち」
「正式に抗議しましょう。いつ、どこで?」
悠の言葉に環も一織も過剰反応。
そんな二人に苦笑し、は首を振る。