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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第18章 18




「大丈夫?」
「はい。今までもずっと十さんとなら大丈夫って言ってきました。今も、本当に心から、十さんとなら大丈夫って、そう思います」
「ありがとう。俺も、ちゃんとなら大丈夫。成功させよう」
「はい。新たなスタートを切るための、ゴールテープ切りに行きましょう」

顔を見合わせ頷く二人。
スタッフも監督も、もう声掛けは必要ないと判断した。

「それでは撮影入りますので、見学の方はお静かに願います!よーーい、スタート!!」

カチンコが鳴り、カメラが二人を映し出す。
は龍之介を見上げ、龍之介もを見る。
もう、そこには雅と徹がいた。

[雅、準備は?]
[出来ています]

龍之介が扉の前に立つスタッフに頷けば、観音開きの扉が同時に開く。
その中には、これまでの共演者たちとエキストラ。
花びらの撒かれたカーペットの上を、龍之介とはゆっくりと進んでいき、神父の前に並んで立った。
挙式のシーンは失敗の許されない一発撮りだ。
始めは緊張感のある表情をしていた共演者やエキストラたちも、と龍之介の様子にその緊張感を和らげていっているのがわかった。

[二人を夫婦と認めます、誓いの口付けを]

神父の言葉を合図に二人は向き合い、龍之介がのベールをあげる。

[雅、愛してる]
[私も心から、愛しています]

セリフと共に二人はそっと口付ける。
ちょっと長めに、と打ち合わせで言われているがため、普段より長めだ。
二人の唇が離れ、タイミングを合わせた鐘が鳴れば、参列席に座っていた者たちは立ち上がり、退席する二人を見送る。
そして二人が教会を出れば、一旦カットがかかった。

「カーーーット!!一発OK!!!」
「……っ良かった…良かったぁー…」
「ああああ!泣いちゃダメ!!さん!我慢っ!」

緊張とプレッシャーから解放され、が泣きそうになるところをメイクに止められ、ぐっと涙腺を締めようと頷く。

「あの子ほんと可愛い、名前なんて言うんだろ…」
「羨ましいくらい龍之介さんとお似合いっ!」

口々に呟かれるギャラリーの声。写真撮影はしないように札は出してあるが、数日内には写真が上がってしまうだろう。
監督はそれも宣伝、と企んでいそうだが。

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