• テキストサイズ

君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第18章 18




「……」
「……」

支度を終え、部屋から出た出会い頭に相手に目を見張り、見つめ合ったまま動かなくなってしまった二人。

「ー、見とれすぎ」
「龍、あんたも」
「っあ、すみません…十さんがかっこよすぎて…」
「っいや、ちゃん、綺麗すぎて……」

相変わらずのお互いべた褒めである。
スタッフたちはお互いのモチベーションを上げるためのいわばパフォーマンスのようなものだと思っているようだが、万理と姉鷺はお互いがお互いとも本心だとわかっているが為に、気が気でない。
本気で駆けつけてよかったと互いに目配せする。
だが実際、のウェディング姿はビジネスパートナーである万理も、仕事一筋女に興味なしの姉鷺も、うっかり見とれてしまった。
純白のドレスを身にまとい、何の穢れも知らない純粋無垢な花嫁を体現している、清純で儚げな雰囲気の。
普段の撮影のメイクより目鼻立ちをはっきりとさせているが為に、愛らしい瞳も強調され何とも愛らしい。
に惚れ込んでいる龍之介はまさにイチコロだろう。

「見とれてる時間ないですよー!すぐ本番!撮影の後はこのまま写真撮影もしますからね!さ、行きますよ!!あ、ちゃんはそのまま、私がドレスの裾持ってアテンドするから、そーっとねー!」
「十さん、ちゃんのエスコートします?」
「え、あ、はい!!」

スタイリストの言葉に頷き、龍之介はに手を差し出す。
その手にが触れればそっと掴み、軽く曲げたもう片方の腕を掴むよう誘導した。

「十さん…」
「行こうか、ちゃん」
「はい」

ドレスを着て緊張が増したのか、撮影の空気にもう馴染んでいるのか、はそっと頷き微笑む。
いつもの元気なはつらつとした笑顔でなく、しっとりとした笑みだった。
そのまま控室として充てられた建物を出て、撮影場所である教会への距離は短いからか、歩いて向かう。
一般客も入っている休日。もちろんギャラリーは多い。

「綺麗……」
「あの子女優さんかな、見たことないけど…すごく綺麗」
「龍ー!!」
「龍之介さんカッコいいー!!」

そんなギャラリーの声に笑みを向けながら、二人は教会の前に立つ。

/ 1123ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp