君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第18章 18
一方はティッシュを貰い目の下に当てて、堪えきれなかった数滴の涙をぬぐっていた。
そんなに、龍之介は微笑みながらの頭を撫でる。
「あと少し。頑張ろう」
「…っ、はい」
涙を堪え、軽くメイクを直してもらっている間に、参列席にいた共演者たちが教会の出口から階段下まで並び始める。
ここからのシーンは龍之介の頑張りが大きい。
「じゃ、次は十くん、頼むよー!」
「筋トレの成果見せつけるときですねっ」
「うん、俺、頑張るよ!」
頷き合いながら頑張る、と腕を上げる龍之介にも微笑み、二人は再度教会の中へスタンバイ。
フラワーシャワーからの、龍之介がを抱き上げキスシーン。
これが終われば、と龍之介はオールアップである。
「シーン156!最終シーンよーいスターートッ!」
掛け声の後、教会の扉が開きと龍之介は、先ほどの緊張感のある表情とは打って変わった始めるような笑顔で参列者を見渡す。
参列者側もギャラリーも、うっかりつられて笑顔になってしまった。
[雅、行くよ]
[はい、徹さん!]
微笑みあい頷けば、龍之介はをいわゆるお姫様抱っこで抱き上げ歩き出す。
色とりどりの花びらが舞い散る中、参列者が列をなした真ん中あたりで立ち止まり、再度顔を見合わせる。
[愛してる]
[私だって、負けないくらい愛してます]
くすくす笑い、笑顔のまま口付け合う。
何とも美しいキスシーンに、見学者もうっとりとみてしまう。
「素敵…あ、ここ喋っちゃダメだった!」
「今音声切ってるので、大丈夫です。ご協力ありがとうございます」
「良かったです…本当に素敵…ドラマ絶対見ます」
そんなギャラリーの声に、監督は小さくガッツポーズをするのであった。