君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第165章 165
「…俺…」
「龍くん、心配しなくていい。私が龍くんに呆れたり嫌いになることは絶対にないよ」
悲し気に見上げてくる龍之介の頬を撫で、は微笑む。
「言い方きつかったね、ごめんね。でも、私の幸せが龍くんの傍にある様に、幸せってやっぱり人それぞれだから。多い人も少ない人もいるし…」
「うん、そうだね。この世の家族がみんなわかり合えるなら、俺の両親だって離婚しなかったよね」
龍之介だって、東京に来るまでも来てからも、家族の間でいろいろあったのであろう。
運よく、家族と話して分かり合えた部分が多かったのだろう。
だから、他の人も、家族も、きっと大丈夫だと信じているのだとは理解している。
それを認めたうえで、そうじゃない場合もあるのだと、龍之介を思うからこそ敢えてきつめに伝えたのであった。
「うん…。うちもお父様が他に女が作ることもなかったし、悲しい子が生まれることもなかった。ま、その悲しい子は今世界一幸せだし、幸せな結婚をして家族を作るつもりだから、家族ならわかり合いたい、家族みんな幸せになりたいって言う、龍くんの気持ちもわかるよ」
「…」
そっとの頬を撫で、龍之介は頷く。
「幸せになろうね。絶対に、幸せにするから」
「うん、期待してる。幸せになろうね」
にこりと微笑み、は軽く腰を屈め、座っている龍之介に口付ける。
「おふたりさーん、二人の世界に浸ってるのは良いんだけど」
「ツッコミどころ満載なんだが?」
三月と大和の声に唇を離しそちらを見れば、は龍之介の膝に戻りながら首を傾げる。
「…、結婚すんの?」
「すぐはしないよ?」
「お前、どんだけ家族と仲悪いの?」
「うーん、個人的には絶縁しても良いけど、スポンサーとして金引き出さないとだからさ?ギリギリ保ってる感じ」
「ああ!?ちょ、その薬指!!」
「え?あ!それ、東京国際音楽芸術祭でつけてた…」
「マジの婚約指輪だったわけ?!!」
大和がの薬指に視線を向けて見つけた指輪。
SNSで話題になったその指輪と全く同じものである。
「だったわけ」
「マジかよ」
「なんのはなしー?」
天と共に戻ってきた環に、大和、壮五、三月は顔を見合わせる。