君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第164章 164
「あんたはあんたの仕事してくれたらいいのよ。ほら、またね」
「はい。私は芸能界の中でTRIGGERの居場所を失わせない様に、目いっぱい頑張ります」
「ふふ、ありがとう。じゃあね」
「お疲れ様です、姉鷺さん」
「わざわざありがとな」
「お気をつけて」
少し遅れて見送りに来たTRIGGER三人にも微笑み、姉鷺はそのまま部屋を後にした。
「飲み物、コーヒーで良いかな?人数いるからハンドドリップじゃなくてコーヒーメーカーセットした方が良いよね?」
「うん、そうだね。お茶菓子…」
ぱたぱたと二人で出迎えの準備をする龍之介とに、天と楽は顔を見合わせる。
「二人が動き出しちゃうと、僕たちやることないよね」
「だな」
そんな事を言っていれば、インターフォンが鳴る。
「あ、出てー」
「俺出るな」
楽が対応し、数分待てば今度は玄関のインターフォンが鳴る。
今度は天が出れば、大和、三月、環、壮五の四人がやって来た。
「お邪魔しまーす」
「っちー!」
「環ーっ!」
駆け寄ってきた環にわーい、と近付けば、ガシッと抱き締められる。
瞬間、環と以外のものは龍之介に視線を向ける。
に関連することには寛容になり切れない龍之介だが、案外微笑ましく二人を見ていることに少なからず驚く。
しかし
「環くん、お菓子食べる?」
「食う!」
お菓子で環を釣る龍之介に、引き剝がしたな。通常運転…と皆一様に頷くのであった。
「は?」
「んー…後で食べるー」
龍之介の言葉に軽く首を振れば、お菓子を準備する龍之介の後ろから抱き着き、擦り寄る。
「こーら。動きにくいよぉ」
「嬉しそうだな」
「でれでれじゃん、十さん」
「そりゃあなぁ」
「ちゃんに抱き着かれたら…」
「またイチャついて…、龍が動きにくそうだからこっちにおいで」
天にて招きされ、はーい、とそちらへ向かうに、龍之介しょんぼりである。
「今度はしょんぼりした」
「百面相だな」
「龍は特に、のことになると表情豊かになるからね」
「見てて面白れぇけどな」
「はい、お待たせ」
茶菓子と飲み物を持ってきた龍之介は各々に配り、の手を取ってそっとカップを手渡す。