君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第161章 161
ぽふりと頭を撫でられ、は涙を溜めながら頷く。
一旦窓を閉めさせ、万理は龍之介を見る。
「じゃあ、あとよろしくね」
「はい、お任せください。大神さんもお疲れ様です。ありがとうございました」
「どういたしまして。じゃあ、俺行くね」
「はい、お気をつけて」
互いに一礼し、万理を見送った後、龍之介もまた車に乗り込みの頬を撫でる。
まだ赤みはあるが、傷にはなっていなさそうで安心する。
もまた龍之介を見上げ、頬を撫でながらうるうると瞳を揺らす。
「嫌な気持ちにさせて、ごめん」
「ううん、大丈夫。実は俺、がいつか家族に愛されることを望んでたんだ。話し合ったりしたら、何とかなるかもって…。けど…きつい事言うかもしれないけど、の家族に、それを求めるのは難しいのかもしれないね」
そんな龍之介の言葉に、はこくりと頷く。
元々娘としては見られていないことは解っていた。
けれど今日、はっきりと旅館のための道具として見られ、育てられていた事実を突きつけられ、も無意識に残していた希望を打ち砕かれたのだ。
「でもには、家族以外にたくさん愛してくれる人がいる。大神さんも、小鳥遊社長も、小鳥遊さんも、IDOLiSH7も、天も楽も、百さんや千さんも、ファンも、みんながを愛してる。誰がそっぽ向いても、俺がずっと愛してる。それが分かってるから」
だから大丈夫。
は何も恥じなくていいし、胸を張っていればいい。
そう言って、の顔を覗き込み微笑む龍之介の笑顔は、突き抜ける程の優しさで満ちていた。
「龍くん…ありがと…っぐす…龍くん……」
「うん、大丈夫だよ。には俺も、みんなもいる。だから、安心して。ね?」
「うん…うん…っ」
そっとの震える体を抱きしめ、龍之介はよしよし、と頭を撫でる。
少ししての鳴き声が落ち着けば、ゆっくりと顔を覗き込んだ。
「何で泣き顔も可愛いの?」
「そんなこと…いうの、龍くんだけっ、だからぁ」
まだ話すとしゃくりあげてしまうにくすくす笑い、そっと頬に口付ければ、こっちも…っ、と唇を指さしながらうるうると見上げてくる。