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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第160章 160




「大丈夫?」
「はい。少し、一人にしてもらっていいですか?電話…したいので」
「うん、わかった。外で待ってるね」

控室となっている部屋に戻れば、万理は部屋の外で壁に背を預けスマホを操作。
部屋に入ったもまた、スマホを操作し電話を掛けた。

『もしもし、?』
「龍…くん…」

掛けた先はもちろん龍之介である。
優しい声に、それだけで涙が溢れる。

『今すぐ行くよ』
「だいじょ、ぶ…」
『…何かあったんでしょ?』
「キスシーン…された…っごめん…」

のその言葉に、龍之介は分かった、と頷き、次いでチャリ、と鍵を手に取った音がした。

「龍く…いい、から…」
『泣いてる放っておくことなんてしたくないよ。大丈夫。すぐ着くからね』
「龍くん…ありがと…ごめんね」
『謝らなくていいの。こういう時は俺が喜ぶこと言って?』
「……っ、愛してる」
『ありがとう、俺も愛してるよ』

じゃあね、と優しい声色のまま、龍之介は電話を切る。

「龍、どうしたんだよ」
「に緊急事態」
「僕たちも行く?」
「ううん、大丈夫だよ。ありがとう」

一刻も早く駆け付けたそうな龍之介にわかったと頷き、二人は龍之介を見送る。
それから龍之介がホテルに着くまで、そう時間はかからなかった。
元々近い場所にはあったが、自分でも驚くほど早く着いた。
早足、というよりもはや走ってに伝えられた部屋へ向かう。

「十くん」
「大神さん、は…」
「大丈夫。十くんとの電話で大分落ち着いたみたいで、今本番も無事録り終わったよ」
「良かった…今は…」
「うん、中にいるから会ってあげて」

虎於とほんの少しでも長くいたくなかったらしく、本番のOKが出た瞬間、スタッフ達に頭を下げそのまま控室へと戻ったらしい。
龍之介が扉をノックすれば、扉が開き、華奢な体が飛び込んできた。

「龍くん…っ」
「、お疲れ様。よく頑張ったね」
「うん…ありがと…」

そっと抱きしめ頭を撫でれば、小さく頷き、抱き着いたままが見上げてくる。
その表情は安堵感に満ちていて、龍之介もほっと安堵の息をつく。

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