君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第160章 160
「御堂さん、こちらネックレスです」
「ああ。……俺ならもっと良いモンやるけどな」
「世の男性がみんな御堂さんじゃないんですよ。ここのブランドは女性が喜ぶデザインかつ、男性が頑張り過ぎずに贈ることが出来る、カップルに優しいブランドさんですから」
虎於の言葉にがそちらを見ながら説明すれば、ブランド会社の広報がこくこくと頷いたのを万理は見た。
きちんとブランドコンセプトを頭に入れていたのか、と感心すると共に、の仕事への熱心さに改めて心が打たれる。
「すみません、大神さん」
「はい」
「まだ、私一個人の発案なんですけど…さんに来季のブランドのイメージモデルとして、上に推薦してもいいでしょうか?」
「ありがとうございます。も喜びます」
広報担当に声を掛けられ、万理は微笑み一礼する。
こういう気配りが次の仕事や他の仕事に繋がるのだと、改めて思わされた。
「流石だなぁ、」
そんな風に呟いていれば、いざ本番である。
ツリーの下、虎於がアクセサリーの箱を開きに見せれば、は嬉しそうに虎於を見上げる。
そんなに小さく微笑み、虎於はそっと抱きしめた。
近付いたままネックレスをに着ければ、そのままそっと顎を掴み、口付けた。
「?!」
「っで…!!」
「カット!!どうしました?」
「最っ低…」
瞬間、が虎於の脛を蹴り、虎於が声を上げたところでカットがかかる。
「!」
「…万理さん……ごめんなさい」
「大丈夫だよ、落ち着いて。御堂くん、今日のキスシーンはフリだけだって話だったよね?」
唇を拭い、涙目になるにハンカチを手渡し、背をさすりながら万理は虎於を見る。
打ち合わせでもフリだけと念を押したにも拘らず、虎於はに口付けたのだ。
「少し、休憩取りましょう。さん、続けられる?」
「はい、大丈夫です。すみません、NG出してしまって」
「大丈夫だよ」
涙目で、それでもしっかりと頭を下げるに、プロデューサーはこくりと頷く。
10分あれば切り替えるというに少しばかり驚いたようだが、それでも、わかった、と頷き送り出してくれた。