君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第160章 160
「本番OK!さん、御堂くん、移動お願いします」
「はい!」
「ちゃん、上着てー」
「はーい」
スタイリストから上着を受け取り着用すれば、万理と並んで次の撮影場所へ。
今度はホテルのロビーに飾られた大きなクリスマスツリーの下での撮影である。
「おー、でっかい」
「すごいなぁ、大きい」
「クリスマスツリー、うちも飾ろうかなー。龍くん持ってるかなぁ」
「元一人暮らしの男性が持ってるかなぁ」
「今年は天と楽がいるから、無かったら買うかもですねぇ。プレゼントも嬉々として買いそう」
くすくす笑いながらはツリーを見上げる。
「クリスマス、私仕事なんですよねぇ…」
「う…で、でも早く上がれるように調整したから!」
「それ、本当にありがとうございます。嬉しいです。ところで万理さん、彼女からもらって嬉しいものあります?」
「…うーーーん…割と色んなもの貰ってたからなぁ…」
「プレゼントというより貢物ですかね」
昔のRe:vale時代を思い出しているのだろう、呟く万理にはくすくす笑いながら頷く。
「龍くんは、私がいれば何にもいらないよって言うんですよ。でも、私貰ってばっかりなんですよね。指輪とか」
「十くんらしいねぇ」
「ホントに。何が良いかなぁ…」
「まだ日はあるし、ゆっくり悩みなさい」
「はーい」
頭をぽふりと撫でられ、は微笑み頷く。
「撮影入ります!」
「あ、はーい!」
「何の撮影だろ?」
「あ!ZOOLの御堂虎於じゃない?!」
「もいる!」
ホテル故に、撮影個所は区切ってはあるが一般客も多く行き来する。
いつの間にか虎於もやってきていたようで、と虎於の姿に徐々に人が集まってくる。
「ここでキスシーンですか…」
「…大丈夫?」
「耐えます。フリだし」
プレゼントであるネックレスを渡され、喜ぶを抱きしめながらネックレスを付けてからのキス。のフリがこのシーンである。
ギャラリーが増えてきた中、は辺りを見回し苦笑だ。
「よっしゃ、行ってきます」
「頑張っておいで」
万理に送り出され、は立ち位置につく。
目の前に虎於が立てば、無意識に僅かに体を逸らした。