君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第159章 159
クリスマスプロモーションということで、ひざ丈の赤いパーティードレスを着用したはまた愛らしい。
「ちゃん、着替え終わったよー」
「そのままこちらでメイクお願いしまーす」
「はーい」
部屋に備え付けのドレッサーに移動し、まずはスキンケアである。
「今日もお肌つやつやだねぇ」
「色んな方からたくさんのおすすめ教えて頂いているので、色々試してるんですよー。やっと最近合うのが分かってきた感じです」
そんな雑談を交わしながらメイクを終えれば、準備は完了である。
少し時間があるとのことで、は女将の元へ。
「お母様、何故ここへ?」
「明日、東京で旅館協会の集まりがあるんよ」
「それはご苦労様です。ですが、私が聞きたいのはそうではなく、何故、私がここに居ることを知ってらっしゃるんですか?」
十中八九答えは決まっているのだが、敢えて問うて見れば母の顔が綻ぶ。
この顔は良く知っている。
「虎於君が知らせてくれたんや」
「ですよねぇ。……余計なことを」
小さく呟けば、またも来訪者を知らせるチャイムが鳴る。
再度万理が対応すれば、にちらりと視線を向けてから招き入れた。
「よう、」
「おはようございます、御堂さ…」
「虎於君、久しぶりやなぁ。また一段とええ男振り増してぇ」
一礼し挨拶しようとすれば、の言葉を遮り女将が虎於に近づく。
一瞬眉を寄せるが、これはこれで都合が良い。
「お久しぶりです。中々京都の方に顔出せなくて悪い」
「ええんよぉ、あんな華々しいデビューしてんねやから」
「先セット見て来まーす。万理さん、一緒に確認してもらっていいですか」
「そうだね。行こうか」
厄介な母を厄介な虎於に任せ、はするっと部屋を抜け出し撮影場所であるホールへと足を踏み入れる。
「厄介が二倍なんですけど…」
「まさかの来訪者だったね」
「ホントに…」
息をつきながら辺りを見回し、カメラの位置やセットを確認する。
仕事をきちんとこなす。
その為の下見は念入りにだ。
「」
後ろから声を掛けられ振り向けば、虎於も準備を終えてやってきたようだ。
その後ろからは、女将が着いてきている。
「余計な事しないで欲しいんですけど」
「お前だって母親に会いたいだろうと思ってな」