君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第158章 158
懐いてくれて、笑顔を向けてくれて、それだけで満たされる部分はある。
けれど、もっと欲しいと思ってしまう気持ちも確かにある。
しかし、それは彼女を愛しているのか?好きなのか?と問われると、首を傾げてしまう。
「憧れ、かもな」
「憧れ…」
「龍との関係性に、憧れてるのかもなって、今思った」
どんな事があっても揺るがない愛と心の繋がり。
いつでも自分より相手を思える思いやりの心。
そんな二人の強いきずなに憧れるのかもしれない。
「ふぅん」
「聞いた割に興味なさげな返事すんのやめてくんね?」
「僕も同じ。わかるようでわからないんだよ」
そんな天に、そういうもんか、と呟き、そういうもんだよ、と頷かれる。
「りゅ…」
「うん。ここにいるよ、大丈夫」
「ん…しゅき…」
「俺も好きだよ」
「寝言に返事するの良くないって言わない?」
「そうなの?」
「夢と現実が混ざって目が覚めなくなるかもしれな…」
「!起きて!」
「ふぇ?!何?!火事?!」
「良かった…起きた…」
天の言葉に即を起こす龍之介に、ビクリとしながら目を覚ます。
「ごめん、火事じゃなくて…が起きなかったらどうしようって…」
「あ、なんだー。何かあったのかと思った…」
驚きはしたものの、龍之介がいて、そこで申し訳なさそうに微笑んでいれば、は安堵したように微笑む。
「起きるよ。龍くんがいてくれる限り、私は絶対起きる」
「…」
「寝起きめちゃくちゃ良いな」
「普通、あんな起こされ方したら怒らない?」
「うーん、目の前に龍くん居たから。怒る理由ないよ」
龍之介のべた惚れ具合が目立つことの方が多いが、も相当なものである。
と思ってはみるものの、人前でくっ付くのは大概が先の場合が多く、愛を囁くのもが先なことの方が多いのだが。
「俺も、目が覚めてがいると、それだけで今日も幸せだったなぁって思ったりするよ」
「起きた瞬間に一日終わらすなよ」
「なんなの、二人とも」
天の言葉に、と龍之介は顔を見合わせて首を傾げる。