君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第17章 17
「っごめん…止まらない…」
「……謝らないで…」
自分も同じ気持ちなんだと、我慢してるのだと、そう伝えるように、は龍之介を見上げ口付ける。
「……」
「それに、煽ってるの多分私です…。でもあとは…我慢、ね?」
照れ臭そうに眼をそらすに、龍之介は小さく頷きを抱きしめる。
少し力を込めれば折れてしまいそうなほど細い腰。そこそこに身長はあるのだが、背の高い龍之介が抱き締めればすっぽりと収まってしまう。
「ん…我慢する…」
「…今日、全部やり遂げられたら、龍之介さんに言いたいこと沢山あります」
「…え、お、お説教?」
「なんでそうなるんですかっ」
胸にすり寄って呟いただったが、龍之介の言葉に顔を上げてくすくす笑う。
「龍之介さんにお説教できるわけないじゃないですかー」
「そう?俺結構やらかしてない?に助けてもらったとこいっぱいあるんだけど……」
この撮影期間を振り返ると、はとんでもない才能を秘めた女優であると誰もが認めざるを得なかった。
スタートがかかった瞬間、役にはまり込むだけでなく、もはや憑依とでもいうかのように、普段のとはがらりと様子が一変する。
そんなに龍之介は圧倒され、セリフの続きが出なかったり、動きを忘れてしまったりすることもままあった。
そんな龍之介を、は周りに気付かれないようにフォローしてくれた部分があったのだ。
「私、そんなことしてました?」
「もしかして無意識?それはそれで凄すぎるよ」
「うーん、分かりません。でも、私の動きやしぐさに龍之介さんぴったり合わせてくれるから、そこに甘えてたのは事実です」
だから、助けられたのは私です。と、は微笑む。
「は俺に甘くないかい?」
「ふふ、龍之介さんほどではありません」
もまた、龍之介に甘やかされている自覚はある。
龍之介はの望みを瞬時に悟り、答えてくれる。
それは演技の上だけでなく、今この瞬間や、普段もそうなのだ。
そう思いながら龍之介を見上げれば、微笑まれ抱き締められる。