君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第156章 156
たまたま、あざで済んだだけ。
けれど、転んだ時に、もし打ちどころが悪かったら…。
そんな事を考える度にを閉じ込めてしまいたくなる。
「いっそ…いっそ閉じ込めてずっと甘やかしてたい…」
「発想が危険すぎだろ」
苦笑交じりに楽がそうツッコめば、インターフォンが鳴る。
どうやら、天が来たようだ。
「…は?」
「仕事行ったよ」
「開口一番かよ」
「も直ぐ引っ越すわけじゃないって言ってたでしょ?四人で暮らす間、一番気を使わせるのはきっとでしょ?」
そんな天の言葉に、それもそうだと龍之介と楽は頷く。
いくら気の置けない友人だろうと、性別という壁は越えられない。
朝の準備も、洗濯も、風呂も、トイレも、にとっては気を遣う事が多くなるだろう。
そもそものことだから、龍之介のみならず、天や楽が気を遣わずに済むよう、いつもより気を配るに違いない。
「そういうとこも愛おしいんだけどね」
「まぁなぁ…」
「甘やかしたくなるよね」
「ね。天もコーヒー飲む?」
「ありがとう、頂こうかな」
天にカップを渡し、三人でソファに腰掛ける。
「はいつ引き渡しなの?」
「引き渡しは終わってるんだけど、家具とかがまだ買いに行けてないんだ。明日オフだから、一緒に行こうって思ってるよ」
そんな龍之介の言葉に、天と楽は顔を見合わせてから龍之介を見る。
「新婚かよ」
「とお出かけなんてずるいよ」
「俺、の婚約者なんだけど…」
ずるいもへったくれもない気がするが、天と楽もが可愛くて仕方ないのも事実。
「俺らも買い足したいものあるし」
「二人きりで出かけるより、皆で出た方が変な報道でなくていいんじゃないの?」
「…う…、と相談…していい?」
圧が強い天と楽にたじたじになりながら、にラビチャを送る。
丁度休憩時間だったのか、すぐにから返事が届いた。
「…家具の組み立て手伝ってくれるなら良いよ、だって」
「お、楽しそうじゃねぇか」
「いいよ、いくらでも手伝う」
どれだけの事好きなの?
と苦笑しながら、龍之介は、皆で行こうね、と返信するのであった。