君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第153章 153
「独立?!」
「TRIGGERが…?!」
「どういうこと?ちゃん、知ってた?」
陸の問いかけに、は静かに頷く。
「事務所から、言われたって。だけど、TRIGGERの三人で話し合って、三人で決めたの。だから、三人から発表するまで、誰にも言わないって、決めてた」
「そんな…」
『いろいろとご心配おかけしましたが、三人で心機一転頑張っていきます。これからも応援、よろしくお願いします。必ずまた…会いましょう』
天の言葉と共に、三人で深く礼をし、袖に戻る。
「次はの番。泣いてないね?」
「泣かないよ。三人ともかっこよすぎたもん。負けらんない」
にこりと微笑むの頭を撫で、天は頷く。
「お前は笑顔が一番。行ってこい」
「ありがとう。頑張ってくる」
楽もまた、の頭を撫で微笑んだ。
「、俺もちゃんと見てるからね」
「うん、行ってきます、龍くん」
頬に口付けられ、嬉しそうに笑えばは袖に立つ。
小さく何回かする深呼吸は、が舞台に上がる前のルーティンだ。
「さん、お願いします!」
「はい!」
前奏が流れ始め、はステージの真ん中まで走り出す。
『こんばんはー!です!宜しくお願いしまーすっ!』
前奏の間に挨拶をすれば、そのまま歌い踊り出す。
大きな歓声に目いっぱいの笑顔を返し、弾け飛ぶように踊る。
無邪気に、悪戯に、可愛く、元気に。
の魅力の全てがそこに詰まっていた。
『ありがとうございました!!』
しっかり歌い切り、ぺこりとお辞儀であいさつをする。
そして、僅かな沈黙の後、顔を上げれば涙がこぼれた。
「…」
『TRIGGERが、大好きです』
会場が、その一言にしん、と静まり返る。
放送はCMに入っているはずだ。
次の出番まで数十秒ある。
「さん、止めなくていいんですか?!」
「…続けさせてあげて」
「ですが…」
「CM明けまで、時間はある」
止めに行こうとするスタッフに、小さく首を振りながらプロデューサーが静止を掛ける。