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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第153章 153




そしてやって来た、八乙女事務所のTRIGGERとしての最後の出演になるミュージックフェスタ。
も出演が決まっており、TRIGGERの出番が近づいた時間で袖に向かう。
前回の東京国際音楽芸術祭とは逆に、今度はがTRIGGERのすぐ後である。

「龍くん、天、楽」
「…」
「よう」
「準備終わったんだね。今日も可愛い」
「ありがと。みんなも素敵」

スタンバイに入る前のTRIGGERに声を掛ければ、いつもの笑みが返ってくる。
ここに居る者たちの誰が、今日を限りにTRIGGERがテレビから姿を消すと思うのか。
そう思う程、彼らは堂々として、気高く、かっこいい。

「ほんっと、最高だよ、TRIGGER」

微笑み、小さく呟く。
照れ臭そうにハイタッチと言葉を交わす三人を見れば、うっかり涙腺が緩む。

「TRIGGERの皆さん、あと30秒です!」
「「「」」」
「っうん!」
「行ってくる」
「見ててね」
「俺たちのこと、見届けて」
「うん!行ってらっしゃい!愛してるよ、TRIGGER」

少ない時間で最大限の愛を。
目いっぱいの笑顔を。
三人に、力いっぱいの勇気を。
そんなの笑顔に、三人も笑みを向け、そして、前を向いてステージへと向かう。

「龍くん、天、楽…頑張って」

立ち位置につく三人。
天の歌い出しで曲が始まれば、観客がどんどん魅了されていくのが袖にも伝わる。

「やっぱすげぇよTRIGGER」
「歌もダンスも…すっげぇかっこいい」

スタッフですら、TRIGGERに魅入ってしまう。
一緒に袖で見守るIDOLiSH7も、じっと、TRIGGERを見ている。
ライバルになりたいと、一緒にかけていきたいと、心から願っている。
けれど

「まだまだ、私じゃ全然及ばないなぁ…かっこよすぎだよ…」

涙を零さない様に、必死に耐える。
すぐに自分の番だ。
やっと三人で歌えた新曲を見事歌い切ったTRIGGERは、一礼してからマイクを再度持ち上げる。

『ありがとうございました。…この場を借りて申し訳ありませんが、皆さんにお知らせがあります。僕たちTRIGGERは所属していた八乙女事務所から、独立することになりました』

天のその言葉に、会場が、そして裏方までざわめいた。

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