君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第149章 149
ててて、と舞台袖に戻ってきたは、真っ先に龍之介へ走り寄り抱き着いた。
「頑張ったよー!」
「可愛くて綺麗でかっこよかった!、最高だよ!」
「ありがとーっ!…TRIGGERのファンの子たちに、応援していいよって、伝わったかな」
「絶対に伝わった。ありがとう、」
頬を撫で微笑めば、嬉しそうな笑みが返ってくる。
ステージに立っているよりも更に愛らしいその笑みに、龍之介はまた更に強い勇気を与えられた気がした。
「あーあ、罪人の磔のようになるかもね。投げる石がないだけ良かった。ねぇ、十龍之介くん」
そこへやって来た、月雲了と虎於。
龍之介は彼らからを庇うように前に立つが、月雲はひょい、との元へ。
「ああ、やっぱり綺麗な顔だ。テレビで見るよりずっと綺麗だ。ねぇ、、うちに来なよ」
「…ツクモには人をフルネームで呼び捨てするようしつけてるんですか?そんな不躾なことする事務所にはいきたくないです」
「気の強いとこも、僕の好みだぁ」
「そいつは俺の女だよ、了さん」
どっちも違うわ、とが顔を顰めれば、龍之介がの肩を抱き寄せる。
「月雲社長さん」
「なんだい?」
「あなたの言う通り、俺は漁師の息子です。海では恵みも災いも、神様次第だった。突然の高波にのまれる恐怖と、嵐の訪れる恐怖と、隣り合わせだった」
「だから?」
「芸能界は人の作った世界です。たとえ、全てを失うことになっても、裸の俺に戻るだけです。何も怖くない」
そう言った龍之介の袖を、がちょいちょいと引っ張る。
私はここに居るからっ!とでもいいたげに軽く頬を膨らますの膨らんだ頬を軽くつつき微笑む。
「俺の足でステージまで歩いて、俺の声で歌を届けます。あなたは嵐の空でも、高波でもない。俺を止めることは出来ない」
龍之介の真っすぐな言葉が、この月雲了という男にどれだけ届くかはわからない。
けれど、はぎゅ、と龍之介の腕に抱き着き、その声を、その思いを自らの心に届けていた。
「あなたは賢い人かもしれない。だけど、あなたが知らないことを俺は知っています」
「なんだ?」
「恐ろしい神様に勝つ方法です。酷い天災に対抗できるものはいつだってひとつだった」