君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第149章 149
呟きながら、龍之介は腕に抱き着くの頭をそっと撫でる。
「人の和です。TRIGGERはここにいる。俺の胸の中にいます。たった一人愛している人も、ここに居て俺を心から支えてくれています。いつも一緒に戦ってきた二人を置いて行ったりしません。ここに居るを、二人を、あなたは奪えない」
あなたは、ちっぽけで、無力だ。
そう言い放った龍之介を真っすぐ見上げ、は頷く。
「龍くん…頑張れ」
「うん、頑張ってくる」
「へえぇ…面白いな!お前の名前は忘れないよ。人の世の地獄の凄まじさを教えるまでね」
そんな月雲の言葉に、は軽蔑に近い眼差しを向け、龍之介は小さく息をついた。
「…行ってきます、姉鷺さん。、見てて」
「ええ、頑張ってね。ここで、見守ってるから」
「私もちゃんと見てる。絶対に、目離したりしないよ。…行ってらっしゃい」
なんて、強くてカッコいいんだろう。
その真っすぐな心が、眼差しが、気高くて、尊い。
愛しくてたまらない。
言葉通り真っすぐ自らの足でステージへ向かう龍之介を、は祈るように胸の前で手を組み、見守る。
「…コーラスも必要な曲なのに…ちゃんがコーラス歌ってくれる?」
「…いいえ。これはTRIGGERの曲です。三人で歌うべきで、私は天と楽の代わりには絶対になれません。私が出てしまったら、この曲は死んじゃいます。龍くんが生かし続けて、天と楽と三人で歌い続けるべきだから」
二人の思いを連れて、龍之介は絶対に歌い切る。
そう信じて疑わないの頭を、姉鷺はぽふりと撫でる。
「そうね、愚問だったわ。ありがとうちゃ…」
「姉鷺さん…」
「信じましょう。龍ならやり切る」
「はい!」
こくりと頷き、は姉鷺と肩を並べて龍之介へと静かにエールを送るのであった。