君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第148章 148
お願いします、と頭を下げる。
今のにできることは、完璧な笑顔で、完璧な歌声で、完璧なダンスで、全てを使って観客を沸かせること。
当然、心配はする。
だけど、それよりも彼らを信じること。
それだけだ。
けれど、それだけしかできない自分に、正直腹が立つ。
「一織、私の楽屋指令室にしちゃって。私、ギリギリまでTRIGGERの楽屋で待機してるから」
「…わかりました」
のメンタル面の調整も大切だ。
TRIGGERがどうなるか分からない状態で、のステージまで散々な結果にするわけにいかない。
捜索隊を結成したIDOLiSH7を見送り、Re:valeの二人はを見る。
「ちゃん」
「百さん…」
「、大丈夫。僕たちに任せて」
「千さん…はい。よろしくお願いします」
「しっかりね」
「…はい」
頷き、はRe:valeも見送り、自身もTRIGGERの楽屋に入る。
「龍くん…」
呟きながら、は祈るように手を組む。
それからどれくらいそうしていたのだろう。
扉の開く音にそちらを向く。
「りゅ…」
「よう、」
「なん…でここに…」
待ち望んだ龍之介の姿はまだ無く、そこにいたのは御堂虎於。
「いずれ俺たちの楽屋になるだろう部屋の見学だよ」
「…ふざけないで」
「はっ、相変わらず気が強いな」
「入ってこないでください」
「やだね」
ずんずんと距離が縮まり、はさっと辺りを見回す。
どちらへ向けば逃げやすいか、そう考えていれば、バンッという音と共に顔の横に腕が伸びた。
「…思ったより足長いみたいですね」
「俺はプロポーションも完璧だからな」
「うざ。どいてくれますか?」
「お前…今から俺に抱かれるってのに悠長だな」
「は…?」
理解できない。
そう思ったときには顎を掴まれ上を向かされていた。
このパターンはあのパターンである。
「っ!!」
「っで…?!お前…」
「簡単に、私のこと抱けるなんて思うんじゃないわよ…ふざけんな」
脛を思いっきり蹴飛ばして、思わずうずくまる虎於を見下ろす。
「は、気の強い女は嫌いじゃないぜ?」
「うるさい」
さっさと出ていけ、とばかりに扉に向かいその扉を開ける。
途端、腕を引かれ抱き締められた。