君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第148章 148
「え……TRIGGERが来てない?」
東京国際音楽芸術祭当日。
会場入りしていたは、本番を近くに控えた今、TRIGGERの不在を伝えられ、楽屋を飛び出した。
「!」
「ちゃん!」
「TRIGGER、TRIGGERが来てないって、どういうことですか?!」
姉鷺に駆け寄り、服を掴みながら見上げる。
「あんたこそ…!龍と連絡取れてないの?!」
「昨日、龍くんに電話があって、急に仕事が入ったから、寮に行っててって言われたんです。遅くなりそうで心配だからって…あの電話…姉鷺さんからじゃ、なかったんですね」
「そうです。俺たち、TRIGGERの応援で客席に行くから、ちゃんと一緒に会場入りしようって…」
「連絡も…そうだ、ラビチャでしか連絡こなかった…いつも遅くなる時は電話なのに…龍くん…」
探しに行かなきゃ。
そう呟き、は辺りを見回す。
「ダメよ!あんたは出番があるでしょ?!」
「でも…!まだ時間はあります!」
「あんたに何かあったら、龍はそれこそ歌えなくなる!」
腕を掴まれ振り向けば、姉鷺の言葉にはぴたりと動きを止めて涙を流す。
「私が…気付いてたら…」
「…ちゃん、あんたは悪くないわ。今は自分の出番のことだけ考えなさい。あんたのステージがボロボロだったりしたら、龍も天も楽も、自分を責める」
「…はい……」
「、俺たちが探してくるから」
「…大和さん」
「、必ず貴女の元へ十氏をお連れします」
「ナギくん…」
だから、泣かないで。
そう言われ、涙をぐい、と拭く。
「私が指示役としてここに残ります。皆さんは、アイドルの基本ルールにのっとって、TRIGGERの捜索に当たってください。さんの出番は?」
「TRIGGERの直前」
「それまで、平常心。いつも通り、出演の準備を進めてください」
「わかった」
「貴女が観客を魅了して、ステージを温めて、TRIGGERへ引き継ぐんです。そんな顔で、ステージに出ないで」
一織の言葉に、言葉はぐっと表情を引き締め、頷く。
「皆さん。どうかTRIGGERを見つけて、連れてきてください。私もここでできる限りの事をします。だからお願いします。TRIGGERを待っているファンの為にも…」