君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第147章 147
メンバーが飲み物を受け取りながら口々に礼を言われ、微笑みながら答えていれば、ちょい、と服を引っ張られる。
「龍くん?」
「…」
いやそんな切なそうな声出さないで?
龍之介の声に苦笑しながら振り向けば、寂しさとわずかな嫉妬の入り混じった龍之介の姿。
「お待たせ」
「ううん、待ってない。ちゃんと来てくれるの分かってたから」
「その割には寂しそうだったけどなぁ?」
くすくす笑いながら龍之介を見上げ、は龍之介の額に手を伸ばす。
「汗かいてる」
「さっきまで走り回ってたから…はっ!俺汗臭くない?!」
「ない。龍くんの香りの全ては私を狂わせちゃう」
額から頬、首筋から胸に指を滑らせ胸元をつつきながらが微笑めば、龍之介は真っ赤になりを見る。
「そんな可愛い事言わないで…今すぐどこか連れ込みたくなる」
「家帰ったらゆっくりね」
「えふん!!おほん!!」
そんな会話を交わしていれば、後ろから咳払い。
「相変わらず、スキャンダルに負けずいちゃついてさぁ!」
「すみません」
くすくす笑いながら、は龍之介の腕に抱き着く。
その薬指にはしっかり指輪が嵌められていた。
が、本物は家で大切に保管する!とが宣言したため、今着けているのは以前仮として贈られた指輪である。
「ぐにに…うらやまじぃ…とは言え、時間も時間だし後一試合くらいして終わろっか」
「そうですね。、冷えないようにちゃんと上着着ようね」
「はーい」
龍之介のジャージを借り、しっかりファスナーも上げて着込む。
サイズが違い過ぎて、ワンピースのようになっているその姿に悶える者数人。
筆頭は龍之介である。
「かわいい…可愛すぎる……どうしよう可愛い…」
「もー。脱ぐ脱ぐ。試合に集中できなかったら大変」
くすくす笑いながらジャージを脱ぎ、それでも冷えない様に羽織る形に変更。
それはそれで可愛い。
「あ、ベンチも冷たいから、タオル敷いてね」
「ありがとう。そっか、観戦にもいろいろ準備がいるんだね。次来るときは準備して来る」
「俺がいろいろ準備するから大丈夫だよ。じゃあ、あと少し待ってて」
「ありがとう、応援してるねっ」
微笑み見上げてくるの頭に口付け、龍之介はピッチへと戻る。