君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第144章 144
「ですかね…。では、お疲れ様でした!気を付けて!」
「明日はオフだったね。ゆっくり休んで。学校はちゃんと行くんだよ」
「はーい。ありがとうございます。おやすみなさい」
車から降り、一礼しながら万理を見送れば、エレベーターへ向かう。
すると、駐車場に続く扉からちょうど龍之介がやって来た。
「龍くん」
「、お疲れ様!今帰ってきたの?」
「うん。龍くんもちょっと早かったね」
「うん…」
何やら元気がなさそうである。
ならば早く部屋へ行こうと、はエレベーターを待ちながらそっと龍之介の手を取る。
「話し、聞くよ?」
「……うん、聞いて欲しい」
小さく頷く龍之介に、手は繋いだまま身体を寄せる。
エレベーターに乗り込み、部屋へと戻ればそっと抱きしめられた。
「……俺のせいで、天や楽にも影響が出てる」
「TRIGGERに、ってことだよね」
「うん…今日の歌番組、MCから一番遠い雛段の一番端だった…」
「そんな…」
「オファーも減ってる。このままじゃ…」
「弱気になっちゃダメ。龍くん、TRIGGERはこのまま潰れてくだけのグループじゃない」
きゅう、と抱き着きながらは龍之介を見上げる。
「…」
「今、TRIGGER叩きが過熱して、一番不安なのは?」
「…ファンの子たち」
「そう。そんなファンの子たちに、TRIGGERは大丈夫だって伝えられるのは?」
「…俺たち」
「そう!私やRe:valeさんやIDOLiSH7の誰が言ったって、ファンの子たちの不安はぬぐい切れない。TRIGGERが、天と、楽と、龍くんが大丈夫だから、って…信じて待っててって笑っていってくれなきゃ…私たちは怖いまんまだよ。不安で、辛くて、心配で、悲しいままだよ」
泣くな。
私たちファンは弱い存在じゃないから。
TRIGGERを支える気持ちだけは、誰にも負けないから。
だから、泣いちゃダメだ。
けれど、この温もりに包まれると、の涙腺はたちまち緩んでしまう。
「ありがとう、。俺、負けない。頑張るよ」
「うん」
「ファンの子たちに恥じないステージを送り続ける。だから、見守ってて」
「うん。ずっと傍で見てる。龍くんとTRIGGERを、ずっと支えてくから」
きっと今、一番責任を感じているのは龍之介だ。