君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第144章 144
ゆっくり羽根を伸ばしておいで、と万理は頷き微笑む。
「ありがとうございます」
龍之介への返信を打ち、は微笑みスケジュール帳にも書き足す。
「結婚の挨拶?」
「いいえ。まだしません…多分…」
「多分は怖いなぁ…あ、おめでた婚はなるべく…」
「そこはきちんとするので安心してください」
「そろそろ始めるよー!」
監督から声がかかり、はスマホとスケジュール帳を万理に手渡す。
「はーい!万理さん、助けてくれて本当にありがとうございます」
「どういたしまして。頑張っておいで」
「はい!行ってきます!」
微笑みセットへ向かうに、万理がうんうんと頷いていれば、スマホが震える。
「?…律儀だなぁ、十くん…」
龍之介から、を年明けに沖縄へ連れていきたいとの旨が書かれたラビチャが届く。
予定しているフライトと、ホテルの名前も書いてあった。
「はは、問題ないよ、と。大事にされてるね、。良かった良かった」
頷きながらリハーサルに挑むを見る。
その後も撮影は順調に進み、ほぼ予定通りに撮影を終えることが出来た。
「お疲れ様でした!すみません!次詰まってるのでお先失礼します!」
「はーい、お疲れ様!」
メイクはそのまま、着替えるだけ着替えては万理と共に急いでスタジオを出る。
「どうしたの?…」
「まだ御堂さんいたので。楽屋押しかけられたら面倒だなー、と」
これから帰ってご飯の準備が待っている。
洗濯は後から出かけた龍之介がやってくれているはずだから問題ない。
マンションの周りは相変わらず記者が龍之介のコメントを取ろうと張っている。
「今日もすごいね」
「ですね。迂闊に買い物にも行けなくて困ります」
「でもはつかま…」
「さん!十さんと花巻さんの関係をご存じですか?!」
「ってるね。大変だね、…」
「全くですよ。進んじゃってください」
「轢いちゃわないか心配になるよ…」
苦笑しながら車をゆっくりとエントランスへ進める。
ゲートから奥へは入ってこないため、やっと人心地つける。
「お疲れ様です。裏から出ます?少しだけ記者少ないですよ」
「の姿が見えなきゃ近付いてこないと思うよ。だから大丈夫」