君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第144章 144
「休憩入りまーす」
「はーい。…休憩取るより早く終わりたいんだけどなー」
「みんなちゃんほど体力おばけじゃないんだよ?」
「体力おばけ…」
そこそこに親しくなった主演女優にポンと肩を叩かれ、苦笑する。
「それよりさ!ゲストの棗さんと一緒にいる人誰?」
「ああ、御堂グループの御曹司。めちゃくちゃ女癖悪いから気を付けてね」
「御曹司と知り合いなの?!あ、でもちゃんも老舗旅館のご令嬢か」
「私はそんな大層なものじゃないよー」
そんな事を話していれば、後ろから腕が胴に周り、引き寄せられる。
「セクハラで訴えますよ」
「俺を訴えられると思ってんのか?」
「パパやおにいちゃまの力で潰されちゃいますもんね?」
虎於の腕を振り払い、触れられた部分をぱっぱとはたく。
「最悪。シャワー浴びたい」
「ものすごぉく嫌われてますねぇ、御堂さん」
更に後ろからやって来た巳波が何とも楽しそうに微笑んでいる。
「俺の何が嫌なんだよ」
「何もかも全部生理的に無理ですね」
きっぱり言い切れば、少し離れたスタジオの入り口で万理が手招きしているのが見えた。
「万理さん?」
「これと言って用は無いけど、用事があるみたいなフリして?」
「…へへ、ありがとうございます。じゃあ、ちょっとスケジュール確認しましょうか」
虎於に絡まれているのを心配してくれたようだ。
くすくす笑いながら、はタブレットを万理から受け取り、スケジュールを開く。
「東京国際音楽芸術祭がもうすぐですねぇ」
「ミューフェスもあるし、Friends dayもあるし…。ブラホワにアカデミー賞もあるし…年末本当に忙しいね」
「ですね。冬休みあるかなぁ…」
「今のところ年始は仕事入れてないよ。の仕事始めは1月5日から」
「え…ということは…4日間おやすみ…?」
「そういう事…早い早い早い。十くんに知らせるの早い」
即座にスマホを取り出しラビチャを送るに、万理は笑いだしてしまう。
すると即既読が付き、返事が来た。
「返信も早いなぁ…」
「丁度空き時間ですね、龍くん。えーと…万理さん、1日から沖縄行ってきていいですか?3日まで」
「え?ああ、十くんの実家?」
「はい。OKならもうチケットとホテル押さえちゃおうって」
「うん、良いんじゃないかな」