君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第143章 143
八乙女社長に連れられて行った先に虎於がいて、彼が自ら龍之介に会いたがっていたと聞いた。
TRIGGER下ろしのこの風潮の背景に、虎於とツクモの気配をは感じ取っている。
故に、こうも思っているのだ。
御堂虎於にかかわるとろくなことがない。
「ああ、棗さんもツクモなんですね」
「はい。星影でもありますけど。なるほど、御堂さんが夢中になるのもよくわかります」
とても綺麗な顔ですね。好みです。
そう言いながら巳波はに顔を近づける。
近付かれた分が足を下げれば、その間に万理が割り入った。
「支度がありますので、失礼します」
「おや、残念です」
くすくす笑いながら、また後で、とを送り出す。
「…私、やっぱりツクモ嫌いですわ」
「俺も。とはいえ…」
「はい。表面上はお利口さんに付き合います」
「17歳に頼むことじゃないのは分かってるけど、お願いするよ」
「はい。今ここは私の踏ん張りどころですから、お任せください」
にこりと微笑みメイク室へ入り、いつも通りメイクをしてもらう。
「なんか疲れてない?ちゃん」
「記者に追いかけられっぱなしなんで、その辺はちょっとしんどいですねぇ…」
「そっか、失恋って出ちゃってたもんねぇ」
「失礼しちゃいますよねぇ」
呟きながらメイクと着替えを終え、スタジオへ向かう。
「」
「……………」
「無視かよ。つれねぇフリして俺の気を引く作戦か?」
「……………」
「嫌われてますねぇ、御堂さん」
「はぁ?そんなわけねぇだろ。こいつは俺の女だからな」
何故かいる虎於の姿を見るなり椅子に座り、台本チェックしながらイヤホンを嵌め、音量を出来得る限り大きくし聴力を一切遮断している。
流れているのは当たり前にTRIGGERだ。
「晩ご飯何しよっかなー…」
現在撮影しているのはグルメ系のドラマの為、台本を読むだけでも案外レシピが載っていたりして面白い。
は主人公の友人役の為調理シーンは少ないが、手伝ったり一緒に食事を取るシーンは多い。
ぼんやりと夕飯を考えていれば、スマホが震える。
着信画面を見れば、時計を見て時間の余裕を見てからその場を離れてスタジオの隅へ移動した。