君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第143章 143
「さん!TRIGGERの十龍之介さんと花巻すみれさんとの熱愛報道を受けて、どんな思いを抱かれたんでしょうか?」
「十さんからこのことについてお話はありましたか!?」
龍之介のスキャンダルから数日後。
両片思いとして注目を浴びていたもまた、格好のターゲットとなっていた。
仕事の移動の度にマスコミに囲まれそろそろうんざりしてきた頃である。
「っあー、疲れた…」
「何となく予測はしてたけど…想像以上だね」
「私が追われる分はどうってことないですけど…過剰なTRIGGER落としの過熱報道は見ててキツいですね…」
世間のTRIGGER叩きは、これまでのTRIGGERの栄光を地に落とすには十分すぎる程のものとなっていた。
龍之介のみならず、八乙女社長まで花巻すみれとの写真を撮られ、TRIGGERのみならず八乙女事務所自体の評判が落ち始めている。
「そうだね…事情を知ってる俺たちは特に。も表に出てないだけで当事者だしね」
「はい…TRIGGERの存在すらなかったことにしようとしてる様に感じて。実際にCMも出演番組もオファーが無くなって、今ある仕事をこなすってくらいになってるみたいです。私も龍くんとの仕事結構リスケされたし…もぉぉぉぉぉ…」
後部座席で動ける限りゴロンゴロンと暴れるに、苦笑しながら万理は頷く。
「ここで、TRIGGERを支えるためにもは仕事頑張らないとね」
「はい。取り敢えず、ドラマ撮影行ってまいります!」
現場が近くなったことに気付いたは、ビシッと背筋を伸ばし女優の顔である。
今日最後の仕事はドラマ撮影。
新しい連ドラの主人公の友人役である。
「はい、到着。記者はいないみたいだね」
「良かったです。もみくちゃにされるの中々しんどいですからね」
苦笑しながら車を降り、スタジオへ向かう。
「さん」
すると後ろから声を掛けられ、振り向く。
「はい」
「3話のゲストとして出演する、棗巳波です」
「です。よろしくお願いします」
「……貴女が、御堂さんご執心のお嬢さんなんですね」
虎於の名前が出た瞬間、は警戒心を最高値まで高めた。
龍之介を嵌めた花巻すみれは、御堂虎於と付き合っている雰囲気だった。