君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第142章 142
そんな二人が楽屋を出れば、姉鷺はの頭を撫でる。
「ありがとう」
「え?」
「あんたが来て掻き回したから、さっきからびみょーーな感じであの子たちに接してたスタッフの気持ちも和らいだみたい」
「お役に立てたなら良かったです。私、自分勝手に龍くんに会いに行っただけでしたけど…」
ただ、ワガママに自分の気持ちを押し付けに行っただけだ。
「今回のこと、ちゃんにも辛かったでしょ」
「うーん。辛い…というか、今はツクモと花巻さんへの怒りしかありません。でも、私が笑って立っているだけでTRIGGERの力になれるのなら、どんな感情に晒されても笑っていようと思います。TRIGGERを、十龍之介を、九条天を、八乙女楽を、愛してますから」
そう言って微笑むに、姉鷺は少しばかり涙ぐみながら手で自らの口元を覆う。
「ちゃん…っ!TRIGGER狂い女優からTRIGGERの嫁に昇格させたげたいっ!」
「やだ…TRIGGERの嫁だなんて…興奮しちゃう…おっと、鼻血が…」
「衣装汚すんじゃないわよ」
「大丈夫です。仕事関係に支障は絶対に出しません」
相変わらずプロ意識が高い。
だが、このまま龍之介やTRIGGERに関わるスキャンダルが続くと、少なからずにも影響が出てしまうかもしれない。
大げさかもしれないが、に何かあれば龍之介が崩れてしまうだろうことは予想できるし、天や楽も平常ではいられないだろう。
「…無理するんじゃないわよ」
「はい。自意識過剰かもしれませんけど、私はTRIGGERを支える沢山の柱のうちの一本です。中でも、龍くんにとっては割と太い柱だと認識してます。だから、絶対に倒れたり、折れたり、しちゃいけないと思っています。無理はしませんけど、TRIGGERと自分を支える部分でだけは、意地でも踏ん張ります」
「もう嫁決定よ、あんた」
「光栄です。だから、頑張ります。前、私はTRIGGERと龍くんの弱点って、言われました」
一織との会話を思い出し、呟けば、姉鷺もそうね、と同意する。
「だけど、弱点だと思わせて、そこを最強の盾にしようって頑張ってます。私をつついたって、刺したって、TRIGGERまでその矛を到達させない様に、強くなります。なので、よろしくお願いします!姉鷺さん」