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君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】

第142章 142




自分ひとりの力で何が出来るわけでは無い。
一人の力なんか、ちっぽけだ。

だけど

「こんな感じでお願いします」
「わかりました、ありがとうございます。よろしくお願いします」

ぺこりとスタッフに一礼し、にこりと微笑んでから一人楽屋を出る。
そのままノックもそこそこにTRIGGERの楽屋へと入れば、驚くスタッフをしり目に龍之介に駆け寄り、抱き着いた。

だけど、伝えたかった。
なにがあっても、私はここに居るからって。

「…?」

周りにはTRIGGERの出演準備を進めるスタッフもいる。
皆一様に、驚いた顔で二人を見ていた。

「…」
「…うん、わかってる。大丈夫だよ」

何が?!!
と周りは顔を見合わせるが、楽と天は頷き合い二人を見た。
どうやら、言葉で無い会話を交わしていたことが分かったようだ。

「」
「ん…」
「泣かないの。泣いても可愛いから抱き締めたくて困っちゃう」
「龍くんの方がいっつも泣く癖に…っ。ぎゅってしてよぉっ」
「今は俺の代わりに泣いてくれてるんでしょ?ありがとう、でも俺は大丈夫。がいてくれるから」
「うん」
「と、天と、楽がいる。だから俺は強くなれる。大丈夫」

にも、自分にも言い聞かせるように、の涙を指で拭って抱き締める。

「、龍、スタッフさんたちビックリさせちゃダメじゃない」
「あ、すみません」
「すみません。TRIGGERとの共演で感情爆上がりしちゃった」
「さすがTRIGGER狂い女優だな」

照れ笑いを浮かべるに、周りのスタッフは惚けつつ、どんなスキャンダルが纏ってもはTRIGGERを応援するのだな、と認識する。
それ以上に龍之介との関係性がますますわからなくなり混乱ももたらしていそうだが。

「ちゃん、あんた何してんの!出番もうすぐでしょ」
「あいー」
「姉鷺さん、は俺たちを元気づけようとして…」
「分ってるわよ。あ!メイク崩れちゃってるじゃないもぉ。早く直してきなさい」
「みゃー」

首根っこを掴まれ、連れていかれるは完全なる子猫である。
というか、は他事務所の女優のはずなのに姉鷺の彼女の扱い方がこなれすぎている気がするが。

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