君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第142章 142
「っは……」
「ん…龍くん…っ」
たった数十分しかない待ち時間。
そんな短い時間だが、互いの思いをぶつけあった二人の気持ちはより深まっているような気がした。
互いに乱れた呼吸と服装を整え、軽く口付ける。
「TRIGGERの出番が先だったっけ」
「ん…そう…時間無いね」
「衣装着替えないとだしね。龍くん」
「ん?」
「愛してる」
「俺も愛してる」
龍之介の返答に嬉しそうに微笑めば、は龍之介の頭に手を伸ばす。
「私の衣装の羽だね。着いちゃった」
くすくす笑いながら白い羽根を摘まむは自らの翼の羽をもつ天使のようだ。
「今日のは天よりもっと天使かも」
「龍くんにとっての天使になれたならそれで充分。っと、離してると時間無くなっちゃうね。また出番終わったらTRIGGERの楽屋挨拶行くね」
「うん、待ってる。帰りは一緒に帰る?」
「今日はマンションの前に記者がいっぱいいそうだから、万理さんに送ってもらう」
「確かに…そっか」
「晩ご飯買って帰るね。何食べたい?」
「」
「それはデザート。ごーはーん」
「うーん、沖縄料理…食べたい」
様々なことが起こって、故郷の味が恋しくなったようだ。
そんな龍之介が可愛くて、ぎゅうと抱き締める。
「買って帰る。じゃあ、また後で」
「うん。また後でね」
龍之介が出て行った後、番組進行の説明のためにスタッフが入ってくる。
「さん、大丈夫ですか?」
「何がですか?」
「TRIGGERの十さん、今出て行ったじゃないですか。なんか、ブラホワで勝つために、花巻さんを色仕掛けで落とそうと…」
バンッ!!
スタッフの言葉に、は机に手を突く。
「…それ、他の人も言ってるんですか?」
「え、ええ…事務所に無断で花巻さんを移籍させたとか…」
「…可哀想。すみれちゃん」
「っそうですよね!」
「すみれちゃん…そんなに頭回らない可哀そうな人だったなんて…がっかり」
「え?」
「いえ、なんでもないです。あ、進行でしたよね!話逸らしてすみません、教えて頂けますか?」
「あ、あ、はい!まず…」
スタッフの話なんて、聞いてなかった。
進行表のとおりで変更がないようだから問題ない。
それより、とんでもない噂が一人歩きしていることが問題だ。