君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第141章 141
「十龍之介熱愛…相手は人気アイドル花巻すみれ…ほぅ」
歌番組の収録の為、楽屋入りした。
周りがやたら騒がしいなと思っていたが、これかぁ、とテレビと新聞を見て頷く。
数日前、龍之介がすみれに呼び出された。
に相談し、流石に二人きりはまずかろうと、も同席することを条件に二人で呼び出されたバーへ向かった。
その時の服装と全く同じ写真故、その時撮られたのだろう。
「ちっ…」
「、怖い怖い怖い」
「あら、出ちゃってました?」
「超ブラックな舌打ちだったよ」
「ブラホワ、私の優勝決まりましたね」
くすくす笑いながらもスポーツ新聞をみちぃ、と握るはひどく恐ろしい。
そこへけたたましく鳴り響くドアのノック。
万理が対応し扉を開ければ、龍之介の姿。
「!」
「お疲れ様、龍くん」
先程までの真っ黒な笑顔をどこへやった?とばかりに何とも愛らしい笑みで龍之介に駆け寄り抱き着く。
「、見た…?」
「見た。事情はあったんだろうけど、一瞬でも同情した私がばかだった」
花巻すみれの移籍問題で八乙女事務所が揺れている中、ブログで八乙女事務所と龍之介の名前を出したすみれのことを、はその場で見限っていた。
更にこの報道だ。
腹立たしいにも程がある。
「ごめん…にも無理言って着いてきてもらったのに…」
「ナギ君がいたのに木の陰に隠されてるし、私もいたのになぜか写ってないし、ガッツリ狙いすました画角だし…最初から記者隠れてたよこれ。ハニートラップじゃないけど、嵌められたねぇ、龍くん…」
「ごめん…」
「…万理さん、少し二人だけにしてくれますか?」
「うん、IDOLiSH7の方見てくるね。30分くらい?」
「プラス15分お願いします」
というのは冗談だが、万理は笑ってOK、と頷いて楽屋を出ていく。
追うように扉に向かいカギを掛ければ、申し訳なさそうに立つ龍之介の前に立った。
「…」
「その顔も超かわいい。ふふ、怒ってないよ。わかってる。ていうか、何もなかったのは私が一番よく知ってる。そこにいたから。でも、悲しいし、寂しいし、ちょっと辛い。だから…抱き締めて」
「…っ」