君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第137章 137
救急箱から湿布を取り出し、の膝に合わせてカットすればそのまま張り付ける。
「冷たくて気持ちいいー」
「それ、熱持ってるってことじゃない?お風呂の後にまた張り替えて様子見ようね。今日は一緒に入れないけど…」
「あと2日くらい待っててね」
小さく笑いながら龍之介を見上げ口付ける。
「心配かけてごめんね」
「俺はの彼氏なんだから、心配するのは俺の特権。が謝る事じゃないよ。きちんと話してくれてありがとう」
痣が痛まないようにそっと膝に触れ、龍之介はそのままを抱き上げ自らの膝に乗せる。
「そのスタジオ、まだ行くことある?」
「ううん。次のドラマの撮影、違うスタジオだからしばらく行かないと思うよ」
「じゃあ、例のスタッフとは会わなくて済みそうだね」
「うん。大丈夫」
会わなければいいという問題ではないが、今回はひとまずここで場を収めたがっているの意志を尊重することにした。
「そういえば、俺今度社長に呼ばれて飲みに行くんだけど…」
「八乙女社長と…?」
「うん、セクシー路線で売ってるでしょ?俺…でも…」
「こないだ、蒼太くんと話してたこと?」
「…ん」
龍之介の弟、蒼太郎は、十龍之介に合わせてくれないなら付き合う意味がない、と彼女にフラれてしまったそうだ。
更には一番下の弟、瑚太郎も「お前もエロいのか」等とからかわれていると聞いた。
「蒼太も瑚太も、怒ってたけどさ。がすっごく怒ってくれたからそれで大分吹っ切れたみたいなんだけど…それでもあいつらがそうやって傷ついたりからかわれたりするのは嫌なんだ」
「うん…」
龍之介からその話を聞き、は即蒼太郎に電話を掛けた。
もし蒼太郎に対して怒ったらどうしようかと心配したが、の怒りは別だった。
その彼女を連れて来い、ガチ説教してやるとキレまくり、蒼太郎がいかに龍之介とは違ういい男かをとくとくと唱え、最後にはテレビ通話で画面の向こうの弟たちを大爆笑させるところまで持って行ってくれた。
本当にありがたかったし、の存在が今や龍之介のみならず弟たちにも大きなものとなりつつあることが龍之介はとても嬉しい。
だからこそ、周りを傷付けないキャラへの路線に変更したかった。