君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第132章 132
嬉しそうにカゴにTシャツを入れれば、そのカゴを龍之介が持ち上げる。
「ここの会計は?」
「お財布の存在がバレたら芋づる式に色々バレそうだからお小遣いで買う」
呟きながら頷けば、は小鳥遊事務所へのお土産も選び、ある一点で立ち止まって龍之介を見上げる。
「龍くん」
「どうしたの?」
「ヘアバンド可愛い…買っていい?」
「…いいに決まってるじゃないか。良いよ、持っておいで」
小首を傾げて聞かないで。可愛すぎるから。
片手で顔を覆いながらひそやかに悶絶する龍之介に、姉鷺はよく耐えた!と小さく拍手である。
これが普段の龍之介なら、抱き締めて離さなくなりそうである。
「おそろい!」
何とも晴れやかな笑顔で、色違いで二つのヘアバンドを持って駆けてくる。
龍之介に限らず、周りの男性陣はくぎ付けだ。
「っ…うん、お揃い、いいね。可愛いね。ホント可愛い…」
「そんなに気に入った?」
「うん、気に入ったし…可愛いのはだけど…。早く帰りたい…」
抱き締めたい、キスしたい、もっと触れたい。
現在、耐えに耐えている状態である。
「夜まで撮影あるけど、だいじょぶそ?」
「大丈夫。今日はを抱き枕にして寝ちゃうかもしれないけど」
「何それ幸せ過ぎる」
のこのはしゃぎぶりからすると、多分帰りの車で寝始めて、家に帰ったらそのまま寝てしまう可能性もある。
そんな中、無理やり起こして抱くことはしたくない。
幸い、明後日は龍之介がオフ、は昼から撮影。
明日の夜は二人とも余裕があるのだ。
「会計行こっか」
「はーい」
会計を済ませ、荷物は姉鷺が管理してくれると言うので、礼を伝えながら託す。
「夜のショーと花火を一望できちゃうスポットがあるから、そこで撮影予定なんだけど、二人のテンポ良くて時間巻けてるからまだ少し時間あるんだよね。二人も疲れてるだろうし、少し休憩する?」
「一旦控室戻るんですか?」
「うん。ここからなら控室近いしね。スタッフは夜の準備があるから、二人でよければだけど」
プロデューサーの言葉に二人は顔を見合わせ、なら休憩を貰おうと頷く。
30分ほどの休憩時間を与えられ、と龍之介は控室へ。
姉鷺は荷物を車に置いて来ると離席。
ならば、やることは一つ。