君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第127章 127
『すげぇな、龍…』
「そんなことないよ。ただ、が可愛くて、たくさん甘やかしただけ」
『お前からの愛情で、アイツ安心できんだな…敵わねぇな、絶対に』
電話の向こうで苦笑する楽に、龍之介は寝室の扉を見て小さく頷く。
「俺、不器用だから。こういう事しかできないけど…をずっと幸せにしたいんだ。その為なら何でもする」
『だろうな。俺にもそんな相手が出来ること祈っててくれよ』
そこからまた軽く会話を交わし、電話を切る。
寝室へ上がれば、はうっすらと目を覚ました。
「龍くん…」
「ごめん、水飲んできた。大丈夫だからね、おやすみ」
「ぎゅーと、ちゅーして…?」
龍之介の姿を認め、微笑みながら両腕を伸ばす。
その手を取りながら横に寝転がれば、の頭の下に腕を通し、そのまま抱き締める。
「」
「…ん?」
「俺は、君を幸せにできてる?」
「龍くんがいれば…それだけで、幸せだよ…」
眠たげながら答えるに微笑み、そっと口付ける。
「俺も、がいれば幸せ。愛してる」
「私も愛してる」
ごそごそと動き、少しだけ上体を起こして龍之介に口付ける。
「可愛い…。さ、寝よっか」
「うん…このままくっ付いていい?」
「いいよ。朝まで抱き締めてるから」
「ずっと…抱き締めてて…」
離さないで
そんな言葉と共に、はまたすぅすぅと寝息を立て始める。
「離せるわけないよ。こんなに愛してるんだから」
そんな龍之介の言葉が聞こえているのか否か、眠っているはずのの口元は、そっと弧を描いて笑みを浮かべていた。
「ん…いいにおい…」
翌朝、目覚めたは漂う美味しそうな匂いに微笑む。
寝室を出れば、欠伸をしながら階段を降りる。
「、おはよ」
「おはよ、龍くん。しゅきしゅきー」
キッチンに立つ龍之介の後ろから抱き着き擦り寄る。
抱き付かれた龍之介はくすくす笑いながら、顔洗っといで、とを洗面所へ送り出した。
「あーい」
「朝から可愛いなぁ」
てちてちと愛らしい足音を立てながら洗面所へ入ったは、顔を洗い軽くスキンケア。
寝ぼけていてもこういうことはルーティンになっていて出来てしまう。
女優の性である。