君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第127章 127
その日の深夜。
すやすやと眠るの寝顔に微笑んでから、龍之介は寝室を出てリビングへと降りる。
ソファに座れば、スマホを手に取り電話を掛けた。
「…楽?俺」
『龍…今日は悪かった。俺』
「が好きなの?」
何かを言おうとする楽の言葉を遮り、龍之介は問いかける。
『…妹みたいなもんだって、思ってた』
「うん」
『お前といるが一番可愛くて、そんな中でも俺らに懐いてくれて、嬉しかった』
「そうだね。は可愛い」
今そこじゃねぇだろ。と突っ込みたいのをぐっと堪え、楽は一呼吸置く。
『だけど、お前に夢中になって、キスして一緒のベッドに寝た俺のことを、全く男と思ってなさそうなを見て…男として見られてぇって、思っちまった』
「…そう」
『なんでそう思っちまったか、今ではマジでわかんなくて…。本当に、お前にも、にも、申し訳なく思ってる』
楽のその言葉に嘘がないことは龍之介にも伝わった。
わかった、と呟いて龍之介は頷いた。
「、凄く驚いて、怖がってた」
『ああ。震えてんの見た…悪かった』
「だから、明日も撮影でしょ?ちゃんと、伝えて欲しい」
『わかった。しっかり謝る』
「俺はもう怒ってないし、にも怒ってない。だから、楽もにしっかり謝ってくれれば、俺はそれで十分だよ」
『龍…』
「でももう、二度としないで欲しい。の心を、傷付けないで欲しい」
不倫の末に生まれた子である。
その出自故か、は仕事以外で不倫や浮気の渦中に自らが巻き込まれることを恐れている。
だから、今回の楽からの口付けに戸惑って、驚き、怖がったのだ。
『ああ、もう二度としない。役のせいで、惑わされちまったんだと思う。ちゃんと、妹分として接するって、今お前に誓う』
「ありがとう。…ごめんね、夜中に。に聞かせたくなかったから」
『どうせ寝れて無かったよ。今、は?』
「大丈夫。ちゃんとご飯食べて、ちゃんと寝てる」
帰り際にはあれだけ怯えていたのに、と楽はの去り際の姿を思い出す。