君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第123章 123
そこには既に、撮影スタッフがいることに気付いた生徒たちがワクワクとしながら待っていた。
「見学ありなんですか?」
「撮影始まる前には出てもらうから大丈夫。誰もいない図書室って設定だしね」
監督の言葉に安心したように頷けば、リハーサルに入ると告げられる。
「流れは大丈夫?」
「はい。なら合わせてくれ、るよな?」
「頑張ります!」
台本の読み合わせはしてある。
動きを取り入れるのは今日が初めてだが、きっと大丈夫だろうと二人で頷き合う。
「それではリハーサル始めます!見学者の方は声を出さないようお願いします!」
リハは見学あるんかいっ!と思っても、スタートがかかればは即スイッチが入る。
その代わり様は、傍で見ている楽のみならず、周りをも驚かせる。
~・ドラマパート・~
[日向]
[ん?なぁに、せんせ]
[お前、いっつもぎりぎりまで学校いるよな。何で家帰らないんだ?]
[高宮先生と一緒に居たいからっ]
[誤魔化すな]
それも本心なのは高宮も気付いている。
けれど、柚葉が家に帰りたがっていないのも事実だ。
[…先生に関係ないじゃん]
[担任だぞ、俺…]
[担任でしかない先生に、何が出来るの?]
そう言いながら、柚葉は溜まってしまった涙を拭う。
その姿に高宮は思わず駆け寄り、抱き締める。
[せん…]
[担当生徒以上に…なっちまってんだよ、お前は]
[先生…?からかわないでよ]
[冗談でこんな事言えるか。お前が好き好きいうから…いや、違うな。色んなお前見て、好きんなっちまった]
[高宮先生…]
抱き締められたまま、呟く柚葉の姿は嬉しいような照れ臭いような、それでも喜びの方がほんのり勝っているような表情。
傍から見たら、可愛い以外の何物でもなかった。
[ひな…柚葉]
[っ!…はい]
[お前おしゃべりだけど…黙ってられる?]
[え、何を?]
[今からすること]
「え…ん…っ」
抱き締められていた体が軽く離れ、柚葉の頬に触れながら高宮は口付ける。
[…真っ赤]
[だって…私、片思いで良いって思ってた、のに]
[俺が片思いじゃいやんなったの。…嫌だった?]
[嫌なわけないです。ずっと、ずっと先生が好きでした。これからも、好きです]
[俺もお前が好き]
[えへへ、嬉しい。ファーストキス、高宮先生だ。ね、先生]
[ん?]