君は水面に輝く光【アイドリッシュセブン 十龍之介】
第122章 122
再度スタートが掛けられ、はかかとを踏んでしまった靴をはき直しながら階段を降りる。
~・ドラマパート・~
[急げ!急げ!]
腕時計をちらっと見て、急ぎ足になれば角を曲がる。
途端、人影とぶつかった。
[きゃあ!]
[あっぶね…!…ん?うちの制服…日向?]
咄嗟に腕を掴んで転倒を防いだことに安堵しつつ、制服を見てから少女の顔に視線を移し、担当生徒の日向柚葉であることを確認した高宮宗司。
[え…?高宮先生…?!なんで…]
[この道、通勤に使ってんだよ]
[あ、そうだったんですね。…あの、先生…手]
[手?っあ、悪い!咄嗟に掴んだままだったな]
[いーえ。このまま繋ぎます?]
[バーカ。しねぇよ]
にんまりと笑う柚葉が、己に一教師以上への好意を持っていることは気付いている様子の高宮。
そっと手を離しながらにやりと笑い、離した手で柚葉の頭をそっと撫でた。
[っ…]
[遅刻すんなよ?]
[あ、うん!先生、また後でね!]
通勤方法が違う二人は、高宮は駐車場へ、柚葉は駅へと走り出す。
ところで、カットがかかった。
~・ドラマパート終・~
「カーット!!リハオッケー!特に変更とかも必要なさそうだし、このまま本番行っちゃおうか!」
「はい!宜しくお願いします!」
と楽がスタートの位置に戻ったことを確認し、本番がスタート。
その日はそのまま、予定していた全ての撮影を無事録り終わることが出来た。
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れさん!二人とも初日なのにテンポ良かったね!いきぴったりだった!」
「光栄です」
「明日もまた頼むよ」
「はい!」
監督にひとしきり褒められ、は楽と微笑み合う。
「しっかし、。お前ほんと上手いな」
「何を突然褒めてるのさ」
「いやマジで。今お前、俺の中でめちゃくちゃ可愛い生徒になってる」
「嬉し照れるなぁ」
「なんだそれ」
「今作った!」
くすくす笑いながら楽屋代わりの部屋の前に立てば、お疲れ様と声を掛け合い着替えに室内へと入る。
着替えを終えて出れば、丁度楽の迎えに龍之介が来ているところだった。